日本は6月30日をもって国際捕鯨委員会(IWC)を脱退し、7月1日から商業捕鯨を再開した。
日本のクジラを食べる文化については、諸外国より、「クジラを食べるのは非人道的」「哺乳類で大型で魚類と違って増えにくいのに絶滅に追いやっていいのか」「漁のやり方が残酷」などと非難されてきた。一方で捕鯨支持国には、ピラミッドの頂点にいるクジラが増えすぎると魚が減る、という主張もある。議論が続く中での強行突破であった。
1986年に始まった商業捕鯨禁止
国際捕鯨委員会(IWC)に日本が加盟したのは1951年のこと。IWCは、「鯨類の適当な保存を図って捕鯨産業の秩序ある発展を可能にする」ことを目的にイギリスのケンブリッジに1946年に設立された。IWC設立当時の加盟国は15カ国だった。いずれも捕鯨国であり、欧米の国々は食用ではなく鯨油を目的としたところが多かった。
ところが時代は鯨油から石油へと移行し、動物愛護や自然保護思想が強まっていくにつれ、捕鯨から撤退したアメリカ、イギリス、オランダ、オーストラリアなどが反捕鯨派となった。さらに一部の鯨種が絶滅の危機に陥ったことから、商業捕鯨は1986年に禁止された。
しかし日本は1987年より、例外として科学研究目的で調査捕鯨が許可される。それぞれの鯨種の生息数調査を理由に、毎年約200頭から1200頭のクジラを獲ってきた。年齢に関する正確なデータは耳垢や歯からしか得られない、食事に関するデータは胃の内容物を見る以外ないとして、捕獲が必要だと日本は主張してきた。
捕獲した場合は可能な限りクジラを加工・利用することが国際捕鯨取締条約で定められているために、日本は調査後のクジラ肉を販売。あくまでも調査を目的としていたが、疑似商業捕鯨ではないかという指摘を受け続けていた。