「いいね!」数の非表示という新たな試みについて、Facebook社ミア・ガーリック氏は「Instagramをユーザーが快適に自分を表現できる場所にしたいと思う」「このテストにより、投稿にどれだけ『いいね!』がつくかというプレッシャーを取り除き、ユーザーが好きなものを共有することにフォーカスできるようにしたい」とコメントしている。
またTwitterは昨年、ブックマークツールの導入により、数が可視化された「いいね!」機能を使わずともツイートを保存できる仕組みに改良し、具体的な対策に乗り出している。同社CEOジャック・ドーシー氏は「大きな“ハート”(「いいね!」マーク)のボタンが人々を競わせることになっている」と言及し、「これは正しいことなのだろうか?これは公衆の会話の健全性に基づくものなのだろうか?健全な会話を促すために私たちはどういった行動をすべきなのだろうか?」といった思いから、新機能の導入に踏み切ったことを明かしている。
TwitterとInstagramの両社によるこれらのステートメントは、グロッサー氏が2012年に主張していた内容と共通するものとなっている。グロッサー氏は今年7月The Mediumのインタビューで「このアイデアが世間の共通認識として見られるようになっている現象は、見ていて不思議な気分にさせる」と語っているが、まさに彼の予見に時代が追いついた結果と言えるだろう。
こうした考えはSNS製作者や技術者のみならず、著名なSNSユーザーからも発信されている。世界的人気を誇る米ラッパー、カニエ・ウエストは2018年9月、自身のTwitter上で、<俺たちは『いいね!』やフォロワー数を表示せずにSNSを使えるようになるべきだ。(中略)あれは俺たちの自己価値の認識に悪影響を与える>と主張し、多くのユーザーから賛同を得た。
さらにカニエはその後、Twitter社CEOドーシー氏にアイデアを直談判したDM上のやり取りのスクリーンショットをアップ、ドーシー氏からの<フォロワー数や『いいね!』数などの、見る者に影響を与えるものについて深く考えているところだ。私たちは変わらなければならない。12年前に理に適っていたシステムが今も理に適っているとは思えない>という回答をフォロワーに共有している。