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リクナビは就活生の味方ではなく「企業ファースト」か 就活生の内定辞退リスクを提供するサービスの妥当性

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「Getty Images」より

 就職情報サイト「リクナビ」を運営する株式会社リクルートキャリア は8月5日、就活生が内定を辞退する可能性を予測し、企業に提供するサービス「リクナビDMPフォロー」の廃止を決定した。就活生にとっては、自分でも把握していない“辞退率”を知らないところで算出され、勝手に売られていたのだから、百害あって一利なしのサービスと言える。

 一方、企業側としては、“内定辞退リスク”の高い就活生よりも、そうではない就活生に時間を割けるため、同サービスは“企業側にとって”非常に頼もしい存在だったことだろう。リクナビは本来、求人や就職活動の情報を発信するサイトだったはずだが、“企業ファースト”を意識する公平性を大きく欠いたサイト運営をしていたとの誹りも免れないのではないか。

 同社は8月1日、同サービスが問題になったことを受け、<この度は、当社サービスに関する報道で、学生の皆さまや、企業・大学の関係者など各所にご心配、ご迷惑をおかけしておりますこと、誠に申し訳ございません>と謝罪文をHPに掲載した。だがこのサービスは一時休止するにとどめ、「学生の個人情報がどのように企業に提供されていくのか、よりわかりやすい表現や説明方法を検討し終え」た暁には再開を見据えているようだ。

企業ファーストの実態

 しかし同社がホームページ上で説明したうち、「サービス提供の背景」や「サービスの概要」なども首を傾げたくなるものばかりだった。まず、「サービス提供の背景」であるが、

<学生の納得度を高めるためには企業と学生の相互理解を深めることが重要であるにも関わらず、年々企業の採用難易度が上がっており、7割以上の企業人事にとって「採用に係るマンパワー」が最大の課題となっています。(中略)相互のコミュニケーションが成立していれば本来紡がれたであろう納得度の高いマッチングが、適切なフォローがかなわないことで、応募学生による選考活動辞退や内定辞退につながってしまっている現実もあります>

 企業の「採用に係るマンパワー」が不足しているため、就活生と企業の十分なコミュニケーションが難しいことが内定辞退につながっているとしたら、それはたしかに歯痒いことだろう。しかし「採用に係るマンパワー」が不足しているのは企業側の事情であり、そのことが学生側にデメリットを与える正当な理由とは言えない。両者のコミュニケーション不足が、就職(採用)活動の納得度を押し下げ、内定辞退に影響を与えているのであれば、「採用に係るマンパワー」が不足している企業でも就活生とコミュニケーションを取れるサービスを提供し、就活生にとってもメリットと言えるようにするべきではないだろうか。

 「サービスの内容」は、以下のように説明されている。

<「採用選考のプロセスが途絶えてしまう可能性」として企業に提示することで、企業は適切なフォローを行うことができ、学生にとっては、企業とのコミュニケーションを取る機会を増やすことができます>

 同サービスを活用すれば、企業は内定辞退リスクの高い就活生を排除することができるので、内定辞退リスクが高くはないとされる就活生に適切なフォローを実施できる。しかし一方で、一方的に「内定辞退リスクが高い」と判断された就活生は、その会社への入社意志があったとしても、企業とコミュニケーションを取る機会を得られなくなるのではないか。

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