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2020年東京五輪は“人命”を軽く扱っていないか。組織委員会とメディアが犯した罪/本間龍インタビュー

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本間龍氏

 2020年東京オリンピック・パラリンピックが、来年7月24日に始まる。残り1年を切った今、各競技で続々とテストイベントが始まっており、テレビのスポーツニュースなどでもオリンピックでの活躍が期待される選手を特集する企画が増えてきている。

 しかし、日本社会全体でオリンピックへの期待感が醸成される一方、暑さ対策や、ボランティアスタッフの労働問題といった、開幕までに解決すべき問題について十全な議論がなされているとは言いがたい状況がある。

 特に「暑さ」の問題は深刻だ。この猛暑のなか、熱中症で救急搬送される人は後を絶たない。総務省は7月29日から8月4日までの1週間に熱中症で救急搬送された人は1万8347人にもおよび、このうちの57人が死亡したと発表した。また、8月8日には、東京オリンピック・パラリンピックの国際放送センターとメインプレスセンターの建設が進んでいる東京ビッグサイトの建設現場で男性作業員が倒れ、病院に搬送後に死亡が確認されたという事故が報じられた。熱中症で倒れた可能性もあると見られている。このままの状態で東京オリンピックが始まってしまって、本当に大丈夫なのか?

 『電通巨大利権 東京五輪で搾取される国民』(サイゾー)や『ブラックボランティア』(KADOKAWA)といった著書で東京オリンピックをめぐる問題点を指摘し続けてきた作家・本間龍氏に、話を聞いた。

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本間龍
1962年東京生まれ。1989年に博報堂に入社し、2006年退社。博報堂時代の経験から、広告代理店とメディアの癒着によって起こる諸問題について告発を続けている。主な著書に『電通と原発報道』(亜紀書房)、『メディアに操作される憲法改正国民投票』(岩波ブックレット)などがある。

「暑さ対策」に打つ手なし

――2020年東京オリンピック・パラリンピックの開幕まで1年を切りました。もう残された時間はわずかにも関わらず、解決すべき問題は山積したままです。

本間龍(以下、本間) オリンピックに関する問題はいろいろありますが、私が指摘したい問題のまず根本は「暑さ対策」ですね。暑さ対策がまともになされていないのにも関わらず、ボランティアスタッフをタダで働かせたり、多くの人を協力させようとしている。

――大会が行われる7月終わりから8月にかけて日本が熱中症の危険性が高い猛暑になることは、日本オリンピック委員会(JOC)や、日本オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会も認識しているわけですよね?

本間 そうですよ。それにも関わらず、いまになっても抜本的な対策が出てこない。というか、暑さ対策って、結局はなにもできないわけですよ。

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