社会

2020年東京五輪は“人命”を軽く扱っていないか。組織委員会とメディアが犯した罪/本間龍インタビュー

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――それはそうですよね。自然のことは人間にはどうすることもできないわけで。

本間 だから、違う日程でやるべきだったのに、日本は招致の段階で「この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である」(東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会「立候補ファイル」内「2020年東京大会の理想的な日程」より引用)と嘘をついて招致をしてしまった。だから、もう引っ込みがつかない。
1964年に行われた前回の東京オリンピックは10月10日から24日にかけてという日程でした。このときも夏にするか秋にするかという検討が行われていて、「夏は不可能である」という結論が出ていた。そういう結論が50年以上も前に出ているのにも関わらず、その教訓をかなぐり捨てて夏にしてしまったから、いつまで経っても暑さの問題から逃れられない。

――なんでそんな嘘をついたんですか?

本間 まず、オリンピックのテレビ放映権料としてアメリカの放送局が払う金額が多いため、国際オリンピック委員会(IOC)に対してアメリカが強い影響力をもっています。そして、アメリカの放送局は7月にコンテンツが不足する傾向にあることで、この季節にオリンピックを当ててほしがっている。これが理由です。とはいえ、そんな事情には抵抗して「東京でやるなら秋です」と言えばよかったんだけど、トルコのイスタンブールやスペインのマドリードに負けたくないがために、日本は「温暖」と嘘をついてしまった。

――自分で自分の首を絞めてしまったのですね。

本間 夏場に無理にやるから、この問題はずっとついてまわるわけですよね。秋にやっていれば、こんな問題はない。暑さの問題があるかないかで、ずいぶん違うじゃないですか。

ボランティアの熱中症対策は

――こんな酷暑のなか、多くのボランティアスタッフを動員しようとしています。

本間 6月には、大会組織委員会からボランティアスタッフの暑さ対策として「お茶や水のペットボトルと塩飴を配る」という案が出されました。これに対して、ボクシングのスポーツ団体から指摘が入ったんです。「汗をかいた状態で水を大量に飲むのはよくないし、お茶なんかあげたら利尿作用でますます脱水症状になる」と。「あげるならスポーツドリンクをあげなさい」と指摘したんですね。そうしたら、組織委員会の人たちが口をあんぐりとさせてしまって……。要するに、暑さ対策についてなにも考えてないわけですよ。暑さ対策をしなければ人命が危険に晒されるということを、組織委員会の連中はまったく理解していない。これは非常に恐ろしいことだと思います。

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