社会

2020年東京五輪は“人命”を軽く扱っていないか。組織委員会とメディアが犯した罪/本間龍インタビュー

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――あまりにひどい。

本間 空調作業服という、工事現場なんかでよく使われている、ファンで風を送り込んでくれる服があります。ああいうものを人数分用意すればいいのにと思いますが、組織委はそういうことはしない。そんなことには金をつかいたくないからですよ。

――ボランティアの対象には、通訳や医療事業者のような専門職も含まれているんですよね?

本間 含んでいます。友人の医師が「絶対にやりたくない」と言っていました。大会期間中は大量の熱中症患者が出るのは確実ですが、「もしもその現場でなにかあったら、対価もない労働でその責任の所在はどこにあるんだ?」と。

――もし必要な人数の専門職ボランティアが集まらなかったらどうするつもりなのでしょう?

本間 日本医師会などにお願いするのではないかと言われています。お金は医師会がもつことにして、表向きは「ボランティア」というかたちでお医者さんを引っ張る。これは通常のボランティアスタッフも同じです。何十社もスポンサー企業があるので、裏から手を回す。ただその際は、正社員ではなく派遣社員を送るとか、あとは下請け企業に「お前のところから何人か出せ」と言うとか、そういう気分の悪い話が出てくるのではないかと危惧されていますね。

オリンピックを批判できないメディアの問題

――聞けば聞くほどひどい話ばかりですが、不思議なのはこういった懸念がマスメディアでほとんど報じられないことです。

本間 ここのところは暑くなってきたからさすがにテレビのニュースでも「暑いけどオリンピックは大丈夫?」といった企画が単発で取り上げられることは出てきました。去年もそうでしたよね。でも、これらはあくまで単発の企画で、最後は「さらなる検討が求められる」といった感じで終わるわけです。「さらなる検討が求められる」なんていうのはもうずっと前から言われてきたことであって、もう1年を切った状況では具体的な対策が出てきていないとまずいわけです。でも、そこまではどのメディアも指摘しない。

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