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空前のミュージカルブームの今こそ観たい、日本をきっかけに世界でヒットした名作「エリザベート」

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 劇場へ足を運んだ観客と演じ手だけが共有することができる、その場限りのエンタテインメント、舞台。まったく同じものは二度とはないからこそ、ときに舞台では、ドラマや映画などの映像では踏み込めない大胆できわどい表現が可能です。

 近年は、空前のミュージカルブームだといわれています。ミュージカル映画の歌詞が流行語大賞入りしたり、社会現象化した映画も登場したりしましたが、突然歌ったり踊ったりするのを観るのは気恥ずかしいという、いわゆる日本人的な感覚が消えないひとも多いはずです。

生きづらさを抱えた美貌の皇后

 そんな日本での上演が契機で、ブロードウェイ、ウエストエンドに次ぐサードパーティーとしてオーストリア発のミュージカルが台頭し、世界のミュージカル市場に変革をもたらしたことをご存じでしょうか。現在、日本のミュージカルの殿堂、帝国劇場で上演中のミュージカル「エリザベート」こそ、そのきっかけとなった作品です。

「エリザベート」は、19世紀末、長きにわたりヨーロッパに君臨したハプスブルク王朝の最後の皇后の生涯を描いた物語。随一の美貌と、宮廷にありながら自由を追い求めた生き方から今も絶大な人気を誇るエリザベートの死に彩られた人生を,、「死神が彼女のことを愛していたから」という恋物語として構成し、ハプスブルク王朝の終焉とともに描いています。

 緑深いバイエルンに生まれたお転婆な少女エリザベート(花總まり愛希れいか)は、木登りから落下して死の淵をさまよいます。すべての死をつかさどる黄泉の帝王トート(井上芳雄古川雄大)は彼女を死後の世界へ導こうとしますが、エリザベートを愛してしまい、生きたままの彼女に愛されることを願って、その魂を現世に戻します。

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