
吉本興業ホールディングス株式会社公式ホームページより
私が35年近くお世話になった古巣、吉本興業がてんやわんやの大騒ぎだ。
騒動の流れは皆さんもご存じだろう。問題の始まりは、雨上がり決死隊の宮迫博之やロンブー田村亮らが会社を通さないパーティに出演したことである。イベント出演の声をかけたのは芸人仲間のカラテカ入江慎也だ。その時のギャラはオレオレ詐欺の犯人の懐から出ていたのだから、この行動はすべてがアウトだ。
カラテカ入江は加害者なのか、被害者なのか
聞くところによると、入江の会社「イリエコネクション」と吉本興業は業務提携を交わしていたという。入江は即刻クビになったが、この会社と吉本興業の関係は気になって仕方ない。もうホームページは削除されているが、イリエコネクションの業務内容は広告宣伝の代理業務、SNSを中心としたプロモーション、コンサルティング業、映像全般における企画制作・演出・プロデュース、商品開発企画立案、イベント/講演会などの企画立案・制作・運営などとあった。
芸人のサイドビジネスが焼肉屋やお好み焼き屋ならいざ知らず、吉本興業の本業とダブる部分が多いだけに、業務提携契約していたとはこれ如何に?
騒動から時間も経った今、よく考えてみると、入江は加害者なのか、被害者なのかわからない。そうなると宮迫らとともに処分された11人の芸人も加害者なのか、被害者なのかわからない?
もしも、入江が記者会見を開き、私がそこで記者として質問するなら、聞きたいことはいくつもある。
「反社とのつき合いはあったか?」
「反社チェックはどのように行っていたか?」
「反社と認識したら仕事は前日であっても断っていたか?」
「宮迫さんら吉本の芸人には過去、どのぐらいの数の直の営業をしてもらっていたか?」
「その時にはいくらギャラを支払ったか?」
「同様に他事務所の芸人さんにはどれぐらいの数の仕事を出していたか? また幾らぐらいのギャラを払っていたか?」
「3万円から100万円ぐらいの差があるのはなぜか? それはどうやって決めていたのか?」
「宮迫さんや吉本興業には何か言いたいことは!?」
こんなところだろうか。しかしこの先、彼のメディア登場はないものだろうか。
誰が、誰に、何を謝罪するのかが見えなかった謝罪会見
入江は雲隠れし、この件で2つの大きな「謝罪記者会見」が開かれることとなった。
「謝罪」とは「誰が、誰に、何を謝罪するのか」というのが鉄則である。しかし、宮迫、亮の謝罪会見の中で、最重要であった詐欺被害に遭われた方々への「謝罪」がなされたという印象はほとんどない。
同様に2日後に行われた吉本興業岡本社長の会見も、被害者への「謝罪」とは映らなかった。私はテレビのディレクターから「あの謝罪会見は何点でしたか?」という質問をよく受ける。その際は「私は審査員ではないので、あまり点数はつけません。良いか悪いかしかなく、その時のどこが良かったのか、どこが良くなかったのかを指し示す仕事なんです」と答えている。
そういう視点から見ると、この2つの会見はどちらも「ゼロ点」である。肝心な相手への「謝罪」があったとは言えないからだ。彼らは「心はあった」と言いたいだろうが、誰の目にもそう映らなかった。
よく見直してみよう。オレオレ詐欺に遭った被害者、その家族や友人は間違いなく被害者である。
その被害者らに謝罪しなければならない者は、明らかに吉本興業のトップであり、現実そこでパーティに参加した所属芸人である。加害者だからだ。