元よしもとの謝罪マンが総括する吉本騒動 カラテカ入江と吉本興業の「業務提携」に残る疑問

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「芸人ファースト」ではなく、「お客様ファースト」である

 元々、関西芸能界では会社を通さないイベント出演を「直(ちょく)営業」と呼び、友達や親戚、イベントのチケットを買ってくれた人たちの声掛けに応えるという程度は許されていた。しかし曖昧なルールゆえ、今回は相手が反社であるにもかかわらず、調子に乗って小遣いをもらっていたということだ。恥ずかしい。

 私が現役社員だった頃に担当していたコンプライアンス研修には「5大テーマ」があった。「酒・金・男女関係・薬・反社」だ。そんな中でも「直営業には反社が潜んでいる。何でも会社に相談するように」と口うるさく言っていたのに、こんな体たらくだ。コンプライアンス研修の訴えていることを理解できない人が増えてきたということなら、今一度、コンプライアンスの研修の数を増やす必要もあるだろう。

  「そんなのを受けるのが面倒だ」なんて言う芸人が出てきたなら、今後交わすことになるだろう契約書において、「契約違反」ということで契約延長をせねばいいのだ。自動車の運転免許の有効期限と一緒だ。再交付をしたければ「研修」はマスト。もちろん違反を犯したら、免停や免許取り消し、罰金も払わせればいい。今回の騒動の中でも、物理的な損害を与えた関係各社には賠償もしているはずだ。それは当事者である芸人から取ればいい。

  岡本社長の会見では「芸人ファースト」という言葉も出てきたが、元従業員であった私にすれば、社長は「社員ファースト」も忘れてはならない。今回の騒動で、オモロイことを考えるほうにエネルギーが回せなくなるほど忙しくなっていると察するからだ。吉本は「観客」「芸人」「社員」の三者と向かい合う際、優先順位を問うのではなく、どれも最も重要なことであると認識してほしい。 

 ここで、2018年に発表された「吉本興業 消費者志向宣言」を見てみよう。

 まず「理念」には、このようにある。

 私たちはいつもお客さまとともにあります。1912年に一軒の寄席小屋から始まった吉本興業。その笑いは庶民の生活の中から生まれ、人びととの触れ合いの中で育てられてきました。

吉本興業の笑いは、庶民のソフトパワーの表出に他なりません。私たちにとって、お客さまは、劇場に足を運んでくださったり、テレビやコンテンツを楽しんでくださったりする存在を超えて、一緒にこの世界を笑顔があふれる場所にしていく仲間なのです。

 吉本興業は、笑いを通してお客さま一人ひとりと同じ目線を持ち、人々が自分らしく生きていける社会をつくっていきたいと考えているのです。

 以下、「取り組み方針」では、このようにある。見出しだけを並べてみた。現在の吉本と重ねてみてほしい。

『すべての人が自分らしく生きていけるように。笑いを「心のインフラ」に。』

『お客さまの期待を超える、質の高いエンタテインメントの創造。』

『お客さまを想いつづけること。』

 最後にここで、「吉本興業グループ行動憲章」も見てみよう。

 吉本興業グループは「笑い」を中心としたエンタテインメントによる社会貢献と、「誰もが、いつでも笑顔や笑い声をもてる社会」の実現を目指しています。

 吉本興業グループのすべての役員・社員(以下、総称して「私たち」といいます)は、このような理念を実現し、文化・芸能の担い手として求められる社会的責任を果たすために、ここに、本行動憲章の制定と遵守を宣言します。

 当社は、1912年の創業以来、常に当社所属のタレントたち(以下、「タレント」といいます)と共に歩み、共に発展してまいりました。

 本行動憲章の理念についても、全てタレントと共有し、私たちとタレントが一丸となって実現を目指すものであります。

1. 最良のエンタテインメントの提供

2. 法令等の遵守

3. 反社会的勢力の排除

4. 社会への貢献

5. 人権の尊重

6. 知的財産の取り扱い

7. 取引先との関係

8. 企業活動の透明性

9. 情報の保全

10. 本行動憲章の周知・徹底

 ということで、会社も芸人もクールダウンして、もうそろそろクビだ、復帰だ、クビだ、謹慎だなどと言わないで、失敗してもみな吉本興業の芸人だということで、行動を以て反省を表現するのはどうだろうか!

 宮迫ら11人総出演の劇団でも作って「大笑い、オレオレ詐欺撃滅作戦!」という喜劇仕立ての芝居かコントでも作って全国を回ればいい。お年寄りには絶対に役に立つし、オモロイはずだ。当然ノーギャラでいい! こういうのがあれば、「吉本新悲劇」は、改めて100年企業の「吉本新喜劇」と呼べるのではないだろうか。

 ここまで書いたら……。「死亡しても責任は一切負いません、賠償請求もできません」という芸人養成所の合宿の誓約書が出てきたそうだ。元々、交わす内容がひどかったことに気づき、作り直して配布していたらしいが、「担当者が変わってこの3年間、配り間違えてました!」ってことだったようだ。宮迫の騒動とはまったく関係のないほころびがまた出た。クワバラクワバラ。

 一方でこの数カ月、お笑いの吉本興業の所属芸人として、ボケ倒すゆりやんレトリィバァやケンコバには拍手だ! またベテラン役者、池乃めだかの記者とのやり取り。これは元吉本人として誇りと思える一言だった。

「吉本に言いたいことは!?」
「早く背が伸びる薬を発明してください!」

 早く発明してあげてください。そして、変わらなくていいところと変わらなくてはならないところ。ここをスピーディに感じ取って決断して前進して欲しいものだ。

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