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ZARD坂井泉水が生前に書き残した「大量のメモ」一冊の本に、賛否と懸念

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ZARD「揺れる思い」(1993年)

 ZARDというアーティストがいた。ボーカルの坂井泉水を中心としたユニットである。坂井はZARD結成当時から極端にメディア出演が少なかったため「坂井泉水は架空の人物、本当はこの世に存在していない」という都市伝説がまことしやかに囁かれたりもしていたものだ。「負けないで」「揺れる想い」など、いまでも歌い継がれる名曲が多く、カラオケではZARDの曲を十八番としている人も多いのではないだろうか。

 だが、悲劇はある日突然起こってしまった。2007年5月27日、入院先の都内の病院で高さ約3メートルのらせん状のスロープから転落、脳挫傷のため死去したのだ。享年40歳。あまりにも早すぎる死であった。当時、発表されたところによれば、坂井泉水は2006年に子宮頸がんにかかっていることがわかり手術、翌07年4月に肺への転移がわかり再治療のため入院していたという。

 45枚のシングル、20枚のアルバムを残し、坂井泉水が亡くなってから12年。彼女が生前書きためていた<メモ>がまとめられ、本になる。ドキュメントブック「永遠 君と僕との間に」(幻冬舎)。発売日は10月24日だそうだ。ZARDが残した楽曲は全155曲。そのうち、151曲は坂井の作詞によるものである。今回本に掲載される未公開メモは、坂井が作詞のために常日頃書きためていたもののようだ。

 ノートや所属事務所のメモ用紙、宿泊したホテルのレターヘッドなど様々なものに綴られた坂井の言葉は、実に500枚以上に及ぶという。メモだけではなく、初公開のものを含む約90点の写真や、育ての親である長戸大幸プロデューサー(71)の新証言も収録されるとのことである。

 「永遠 君と僕との間に」の発売情報が解禁されたのは8月13日のことだが、またたく間にネット上には様々な意見が書き込まれている。<本人は亡くなっているわけだから、意思確認ができない。それなのに公表するのは、金儲けの道具にしている気がする><誰かが彼女の死を商売にしている>など、真っ向から否定する声も少なくない。

 筆者も物書きの端くれゆえ、日常の中で思いついた様々なアイデアをノートやプリントアウトした資料の裏などに書き留めることは多い。書き留める、といえば美しいが実際は書きなぐっており、あとでみて意味不明のもの、読み取れないものなどもたまにある。アイデアを書き、その横にそのときに感じた思いや心情などを添えることも。もしこれが死後、世の中に公開されたりしたら……自分ならばただただ「恥ずかしくっていたたまれない」気持ちでいっぱいになるだろう。アイデアを書き溜めたメモは、あくまで自分が読むためのもの。坂井泉水もまた、自分の心の内をさらけ出したメモが世間の目にさらされることを、果たして喜ぶのだろうか。

 無論、あまりにも赤裸々な内容が書かれているものがあったとしたなら、当然それは公開されず不採用となっているはずだろう。故人の名誉を傷つけかねない内容にはならないと考えられる。それはわかっているが、それでもどうも釈然としない思いがあるのは筆者だけではないはずだ。

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