かんぽ生命の不適切販売 保険は「目的」次第で契約の利益も変わる

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かんぽ生命の契約内容

 おじさんの強いこだわりを聞き、姪っ子である40代の女性としても説得は諦めるしかなかったそうです。そもそも、自分のお金ではなく、親でもない人からダタでもらえるお金ですし、あまりいろいろ言っておじさんのご気分を損ねるのも良くないでしょうから、この妥協は仕方のないことかもしれません。

 そして、おじさんと一緒に郵便局に出向き、110万円の贈与を受けて契約したかんぽ生命の保険内容は次の通りです。

・40代の母親が契約者(保険料負担者)、10歳の息子が被保険者(保険の対象)、全期払18歳満期学資保険
・全期間である8年分の保険料1,077,142円支払い。(月払、全期前納)
・被保険者が亡くなったら、払込保険料相当額を受け取れる。
・被保険者が入院したら、7,500円と初日から1日につき1,500円受け取れる。
・被保険者が手術したら、外来7,500円、入院30,000円受け取れる。
・被保険者が放射線治療を受けたら15,000円受け取れる。
・満期がきたら100万円受け取れる。
・契約者が亡くなったら、その時点以降の保険料が免除となるため、既に払ってある未経過分の保険料が戻ってくるが、契約は消滅せず内容は満期までそのまま継続。

 さて、この契約内容どう思いますか?

不利益か否かは「目的」次第

 この契約が利益となるのか不利益となるのかは、どういう「目的」で契約を結んだのかによって変わります。もしも、息子の大学入学時点を目指した純粋な貯蓄であれば、今108万円弱払って、8年後に100万円受け取れる契約は明らかに元本割れなので不利益です。預貯金、タンス預金の方が良いということになります。

 もしも、目的が貯蓄だけでなく、「子どもの医療保障」や「自分の死亡保障(契約者死亡時に払い込みが免除となる特約)」もほしいということであれば、保険料によっては不利益とは言えません。この場合、まずは、払ったものともらえる額の差を計算しましょう。1,000,000円(満期保険金)-1,077,142円(保険料)=-77,142円です。この8万円弱のお金を払って「子どもの医療保障」や「自分の死亡保障」を買いたいか否かという検討が必要になります。

 今回のケースでは、貯蓄のあるご家庭なので、子どもの病気やケガで家計が傾くような状況ではなく、また、夫も平均よりも年収の高い会社員なので、契約者である母親の死亡による払込免除になる特約を買う必要はないと考えます。ついては、この点でも不利益な契約と言えるでしょう。

 この8万円弱のマイナスを、おじさんから「お金をもらうための手数料」と考えられるかどうかが決め手です。彼女は、保障の内容でおじさんを説得することはどう考えても難しかったと言っています。つまり、このケースは不利益な契約とまでは言い切れません。

まとめ

 今回のケースは仕方がなかったとしても、筆者はどうしてもスッキリしません。

 もしも、郵便局の社員が「目的が貯蓄であれば、8万円弱の元本割れとなりますので、現金で渡したらどうですか? いろんな使い方ができますよ! とりあえず、郵便局の定額貯金はどうですか?」などとおじさんに言ってくれたらどうでしょう。おじさんにとって本当の意味で「お世話になっている」人と言えるのではないでしょうか。

 しかしこれは、成績やノルマのある人の目の前に「あなたの一番いいように!」と、お金を持った高齢者が現れたら、あり得ないことなのかもしれません。

 問題はおじさんです。「お世話になっている」という曖昧な理由で8万円弱のマイナスが出ることを何とも思わない点が心配でなりません。

 今回は8万円弱の元本割れの契約でしたが、特に高齢者は、「お世話になっている」「良くしてくれる」「よく顔を出してくれる」「話を聞いてくれた」などの理由で、何かしてあげたいと思う傾向があります。場合によっては、大金を出してしまったり、騙されてしまうことも考えられます。超高齢社会の日本では、全国各地でこういった問題が多発するのではないかと懸念します。度重なる増税、続く物価上昇の中、超低金利でお金は増えず、給料やボーナスは上がらず、残業代や退職金・年金は下がるという厳しい時代になっていますので、余計な損を出したり、騙されている場合ではありません。

 販売する人の倫理はもちろんですが、同時に消費者側も知識を得て、意識も変えていかなくては、不利益な契約など不適切販売はなくならない問題だと思います。

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