
「Getty Images」より
Jリーグ1部の湘南ベルマーレの曹貴裁監督によるパワハラ疑惑が浮上した問題で、曹監督が辞任の意向を周囲に伝えていることがわかった。一部のスポーツ紙の曹監督が所属選手やスタッフに暴言などのパワハラを行ったという報道を受け、クラブは13日、<本日より曺監督はJリーグの調査が終了するまで現場での指揮及び指導を控えることとします>と一時謹慎を発表している。あくまでも<疑義を正しく審査いただくための措置>であり、まだ辞任が確定したわけではない。
朝日新聞によると、曹監督は選手やスタッフに対して、数年にわたり暴言や精神的苦痛を与える指導を繰り返していたという。また、日刊スポーツは、選手やスタッフの前で扇風機を蹴飛ばしたり激昂してペンを床に叩きつけたりなど、高圧的な言動が珍しくなかったと報じている。
プロ野球の監督が選手を叩いても厳重注意のみ
今回の騒動を受け、Jリーグはクラブの選手・スタッフ約50人にヒアリング調査を実施するとしている。「事態を解明すべくヒアリング調査を実施」というJリーグの対応は一見当たり前のように思えるが、奇しくも先月プロ野球界で発覚した問題への対応は、まったく異なるものだった。
先月、プロ野球の広島東洋カープの緒方孝市監督が、6月30日の横浜DeNAベイスターズ戦で全力疾走をしなかったため、野間峻祥選手を平手で数回叩いたことがわかった。場合によっては暴行罪に問われてもおかしくない“事件”だが、球団は緒方監督を厳重注意したのみ。
日本野球機構(NPB)の井原敦事務局長に至っては、「球団から速やかに報告を受けた。このような事案はあってはならないことで、再発防止に努めてほしい」と述べるだけで、選手やスタッフへの聞き取りは一切なかった。
アマチュアのお手本にならなければいけないプロの世界で、監督が選手を殴ったことは一大事である。そもそも、緒方監督は怠慢プレーを理由に選手を殴ったのだから、チーム内で暴力や暴言が常態化している懸念もあり、選手やスタッフへのヒアリング調査は必須だ。厳重注意のみにとどめる球団も問題だが、何の対策も講じない日本野球機構はさらに問題ではないか。
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