六本木ヒルズでエスカレーターの乗り方のイベント開催
東京都理学療法士協会は、森ビルとJ-workoutと合同で、安全安心なエスカレーターの乗り方教室を2019年7月22日と8月9日に六本木ヒルズで開催した。
両日とも、ヒルズ街育プロジェクトとして「エスカレーター乗り方改革!2列に止まって乗りましょうキャンペーン」を実施。六本木ヒルズメトロハットでは、正しい利用法を呼びかける動画の放映と、エスカレーターステップへ「2列で止まって利用しよう」の文字と足型の装飾が常設となった。8月31日までは、エスカレーター前に東京都理学療法士協会のロゴが入ったポスターも展示されているという。
シブヤ・スマイル・プロジェクトでエスカレーターマナー向上のイベント開催
齋藤氏は、エスカレーターマナーアップ推進委員会長として2019年7月31日、シブヤ・スマイル・プロジェクトのエスカレーターマナー向上についてのイベントに出席した。
同プロジェクトは、渋谷のマナーを向上させるべく、さまざまな問題に着目し啓蒙活動を行う。当日は、澤田伸渋谷区副区長、渋谷区の中村豪志区議会議員、モデルのくみっきーさんも参加し、エスカレーターマナー向上についてさまざまな意見が出された。
齋藤氏は、エスカレーターの左側に止まって乗るのが難しい障害を持つ人がいる状況を述べ、この慣習のために左側に立って乗れるようにリハビリの指導をしていることなど、理学療法士としての目線で発言した。
中村議員からは、「2列に止まって乗るのが渋谷らしくて格好いいエスカレーターの乗り方というように、使う人主導の目線で生まれてくると良い」という意見が出された。人に迷惑をかける乗り方は格好悪いから、格好いいほうがいいなと考えてもらうことで、マナーを守って意識してもらえるのではないかと考えているという。
くみっきーさんは、「格好いいと自然にしたくなる気持ちになるし、SNSで渋谷のエスカレーターで止まってみたと発信するだけで格好いいというのが広がっていくかも」と時代に合った発言も出て、活発なディスカッションになった。
また、エスカレーターの足をのせる部分に左右2人分の足形をプリントしたデザインを使用すると、視覚的にわかりやすいという事例なども紹介された。
駅などでも始まったエレベーター乗り方改革
エスカレーターで左右2列に並んで止まって乗るという呼びかけは、駅や商業施設などでも活発になってきている。
2019年7月22日から8月31日まで、全国の鉄道事業者52社局、森ビル、商業施設、羽田空港、成田空港や一部の自治体などで「エスカレーターみんなで手すりにつかまろうキャンペーン」が実施されている。
東京の駅では、エスカレーターの右側は歩く人のためにあける慣習のため、しばしば左側に長い行列ができる事態が発生している。これは、ホーム上に人があふれる原因にもなり、混雑時には危険な事故が起きかねない。海外から多くの人々が訪れる2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催時の安全確保は、特に懸念されている。
また、エスカレーターは、その上を人が歩くという前提で設計がされていないため、片方だけに乗り片方を歩くと負荷がかかり、緊急停止など故障の原因にもなるという。
日本エレベーター協会のエスカレーターの利用者災害の調査によると、最も多い事故は転倒で、その多くは階段上で発生している。転倒などの事故を減らすには、エスカレーターの手すりをつかんで乗ること、立ち止まって乗ることが有効であるとしている。
エスカレーターに2列に立ち止まって乗ることを呼びかけている理由は、障害などが理由で右側に立ちたい人がいるためだけでなく、安全上の理由もあるのだ。長年の習慣化した乗り方を、急に変えるのは難しいと感じる人もいるかもしれない。しかしこの呼びかけは少なくとも、エスカレーターの乗り方について考えるきっかけになるのではないだろうか。
1 2