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デマは事実よりずっと拡散しやすい 蔓延するデマツイートから逃れる手段はないのか 

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「Getty Images」より

 「ツイッターにリツイート機能をつけたことを後悔している」

 リツイート機能を開発したChris Wetherell氏の発言だ。BuzzFeedのインタビュー記事によると、リツイート機能を「4歳児に弾をこめた銃を持たせるようなもの」とたとえ、その危険性について語った。 

 便利なはずのリツイート機能。しかし、使い方を間違えてしまうと誤解やデマが広がってしまう上、最悪の場合には犯罪者になってしまう可能性があるという。

リツイート機能とは 

 リツイート機能は2010年に実装された、何度かのタップ(クリック)で任意のツイートを自分のフォロワーのタイムラインに拡散できる便利な機能だ。拡散の用途はグルメや生活のお役立ち情報などの知って欲しい情報から、議題にしたい・反論したい意見を議論の種にするなど、多岐にわたり重宝されている。

 ところが、リツイート機能によって事実が誤認されてしまったり、嘘の情報が拡散される被害が実装以来相次いでいる。

ツイートの拡散で広がる誤認

 お笑いコンビ「髭男爵」の山田ルイ53世さんは7月、リツイートによるなりすましの被害に遭った。山田ルイ53世さんの写真をアイコンにし、類似の名前を名乗る”偽アカウント”が、障害者議員を強く批判したツイートを行ったのだ。ツイートは多数のリツイートを得て大きく拡散され、無関係の山田さんに批判が相次いだ。山田さんはツイートを知ると<髭男爵 山田ルイ53世 のツイッターは、当公式アカウント @higedanshakuY53 のみです。他は一切関係ありませんので、よろしくお願いします。とりいそぎm(_ _)m>とツイッター上で注意を呼び掛けた。

 偽アカウントは、よく見れば苗字(山田)と〇〇世の数字が違っていることや、公式マークがないことなど不自然な点が多く見られたが、目に触れた多くの人は気づかずに「山田さんの発言」として誤認してしまっている。

 ツイート主が紛らわしいアカウントを作っていたことも問題だが、彼が山田さん本人ではないと知っていながらリツイートした人がいたら、山田さんへの誤解を助長したことになるだろう。

 今回は類似の名前という例だったが、なりすましにより有名人が風評を傷つけられる被害は跡を絶たない。なりすまし犯の心理はさまざまだそうだが、自分の名を語った見ず知らずの人間によって、自分の評判を下げられてはたまったものではない。

 なりすました人間が悪いのはもちろんだが、それを助長し、多くの人の目に触れるよう誤った情報を拡散してしまうリツイートにも責任がないとはいえない。デマを広めた人も「私の知ったことじゃない」なんて都合のよいことにはならないだろう。

緊急時・災害時に起きる悪質なデマ

 リツイートはデマも拡散する危険性がある。特に緊急時・災害時は悪質極まりないデマツイートが多く出回り、情報が錯綜する。そんな中で自分のリツイートか大きな混乱を招くきっかけになってしまう恐れもある。

 平成以降、最悪の放火殺人事件となった京都アニメーション放火殺人事件でも、発生時にデマ情報が多くツイートされ、混乱を招いた。

  たとえば、「NHKが事件に関与していたのではないか」などの「NHK陰謀説」。この件に関して、NHKから「いずれも事実無根です」と噂を強く否定する文書が出されているが、ツイッターでも多くの人にリツイートされたことによって誤った認識が広まってしまった。

 事件だけでなく、災害時にデマツイートは増加する。

 北海道地震では「自衛隊の情報によると」と語り、嘘の大規模余震の情報を流したLINEのスクリーンショットを載せたツイートが拡散され、西日本豪雨では「被災地の家屋に外国人が泥棒に入った」といった内容のデマが流れた。

 なお、熊本地震の混乱の最中、「熊本の動物園のライオンが放たれた」として被災地に混乱を呼んだツイート主は業務妨害の容疑で逮捕されている(後に起訴猶予)。

 これらは無視をすればただの妄言で終わるが、「皆に知ってもらおう」と事実確認もせずにリツイートで拡散してしまうことによって問題が大きくなる。また、親切心ではなく「ネタとして」と悪意をもってリツイートする人も少なくない。

デマツイートは拡散されやすい

 昨年MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究者らによって発表された論文を元にした記事によると、嘘のニュースの拡散速度は正しいニュースの20倍だったという。

 事実は1000程度しか拡散されなかったのに対して、嘘は多い時は10万人までリツイートされたという。また、拡散しやすいリツイートの感情は「驚き」と「嫌悪」が多かったそうだ。嘘のニュースだけでなく、嫌悪の感情も、悪質なデマツイートやなりすましツイートにつながるだろう。

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