社会

伝統的な遠泳指導に疑問の声 ブラック企業の根性論とは違う?

【この記事のキーワード】
【画像完成】伝統的な遠泳指導に疑問の声 ブラック企業の根性論とは違う?の画像1

『SPORTSウォッチャー』公式サイトより

 8月10日放送の『SPORTSウォッチャー』(テレビ東京系)が取り上げた鹿児島市立松原小学校水泳同好会の指導が、視聴者間で物議を醸していた。体罰や虐待の可能性を指摘する声から、大人のための「感動ポルノ」ではないかと憤る声まで上がっていたが、どのような放送だったのか。

 鹿児島市立松原小学校水泳同好会では、4~6年生で希望する児童が、同校の伝統行事「錦江湾横断遠泳」に向けて練習を行う。大正15年に始まった「錦江湾横断遠泳」は、夏休みに実施され、遠泳約4キロを横断する。今年の開催は54回目になるといい、まさに「伝統行事」だ。今年は4~6年生129名中69名が参加したという。練習は5月初旬から始まる。

 10日の放送では、今年初参加で泳ぐことができない4年生の児童に密着。ナレーションでは、“カナヅチ小学生”と表現されていた。「錦江湾横断遠泳」に参加するためには、プール(1周70m)40周2800mを70分以内で泳ぎきる「40周検定」に合格しなければならない。

 練習初日、4年生の男子児童は水に顔をつけるのも怖がり、水泳記録はわずか50cmだった。母親によれば男子児童は自分から「する」と言い出したそうで、男子児童は「ちょっと怖いからやりたくなかったけど、怖がるのは嫌だから、厳しさにも耐えられるように遠泳を始めた」と語る。そして、「宿題をやらないと遠泳では立たされる」から、と自宅で率先して宿題をするようになった男子児童は、練習15日目には15メートル浮いて進めるようになった。

 一方、水泳が苦手な4年生の女子児童は、水泳同好会のコーチ代表に「頭が痛いです」と泣きながら訴える。しかしコーチは「あ、そう。泣いてるの?」「みんなも同じところで練習してるんだぞ」と取り合わない。女子児童が再度頭痛を訴えても「で、なんなの? 頭が痛いのはわかったわ。その報告をしに来たのか? 次の練習が始まるぞ、戻れ」と一蹴した。この女子児童は水泳以外のスポーツは得意だそうだ。

 この場面について、ナレーションで「いざ海に出れば4.2キロを泳がねばならず、命に関わる危険が伴う。厳しくするのは子どものため、そして諦めない心を育むため」と補足された。ただ、頭痛が仮病や軽症ではなく、急激な体調悪化の前触れという可能性もあり、体調不良を訴える児童に詳しい症状を確かめることもなく練習を続けさせていいものか、疑問は残る。

 しかし翌日、女子児童は練習開始前に泣いてしまい保健室へ行ったものの、コーチの「涙が出てたら練習にならないぞ。練習しようと思って来たんだろう? お母さんと一緒に話して練習しようと決めてきたんだろう? もう泣いてる? 泣かなくていいから。そのぶん練習しよう」という励ましを受け、再び泳ぎだす。ナレーションによればこの日を契機に女子児童は「明らかに変わった」という。

1 2

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。