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「副業はダメだけど、ボランティアはOK」!? 副業への誤解と上司ブロックはなぜ頻発してしまうのか

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「Getty Images」より

 政府は副業推進を企業に呼びかけているが、制度の不備などを理由になかなか柔軟な働き方(働かせ方)を実現できていない企業は多くある。株式会社リクルートキャリアが昨年発表した調査結果によると、兼業・副業を禁止している企業は71.2%もあり、副業が普及するのには時間を要しそうである。

 しかし、副業推進を阻むのは副業禁止企業だけではない。会社側は従業員の副業を容認しているにもかかわらず、上司の独断で部下の副業を禁止する“上司ブロック”が原因で、副業をしたくてもできないビジネスパーソンも少なくないようだ。

 キャリアコンサルタントとしてこれまで多くのビジネスパーソンのキャリアの相談に乗ってきた境野今日子氏は、“上司ブロック”の背景に“会社で出世することこそが成功” という価値観の蔓延がある、と分析する。

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境野 今日子(さかいの きょうこ) キャリアプロデューサー
NTT東日本の秋田支店で法人営業を担当し、その後帝人の採用担当へ転職。在職中に国家資格キャリアコンサルタントを取得。現在は、企業の人事総務部やキャリアコンサルタントとして働くパラレルワーカー。 Twitter:https://twitter.com/kyokosakaino

「副業はダメだけど、ボランティアはOK」という謎定義

 会社という組織での出世を第一義に掲げると、隙間時間や土日祝日に副業することなど「あり得ない!」となる。

境野氏「土日は接待ゴルフに参加、夜も会社の飲み会には全部参加すべき、そうしてこそ出世の道が開けるという価値観が蔓延っている職場、あるいはそういう価値観に囚われている上司は、『空いてる時間を副業なんかに使うなどとんでもない!』と考えています。そもそも『副業を認める・認めない』という次元ではなく、『副業は悪いもの』と捉えているのです」

 境野氏自身、過去の勤め先で「副業をしたい」と上司に訴えたものの、「副業はダメだけど、ボランティアならOK」と言われた経験があるという。

境野氏「自分の時間を自由に使いたいだけなのに、副業だけは頑なに認めないって、変ですよね。おそらく、“副業”というワードに強いネガティブなインパクトを感じているのだと思います。部下に『副業はNG、ボランティアはOK』と言い放った上司は、『副業=仕事だから大変そう(=本業に悪影響を及ぼしそう)』『ボランティア=趣味的なものだから楽そう』と考えていたようですが、じゃあ『登山が趣味の人はどうなの?』と思いますよね」

 副業の仕事が楽しくなり、転職につながる可能性も、上司にとってはリスク。その危険性を察知して上司ブロックに走ることもあるという。しかしそもそも、副業が原因での人材流出は本当にあるのか、境野氏は懐疑的だ。

境野氏「私なら『副業をしたい』と言う部下がいたら、『副業先で学んだことを本業でも活かして好循環を起こしてね』と背中を押します。そう言ってあげれば、その部下は会社(本業)を見直すかもしれませんし、エンゲージメントを高めることが期待できます。『副業を認めない狭量な会社に失望した』と言って辞める人もいるので、人材流出の懸念を理由に副業を認めないことに、説得力はありません」

 そして、上司の“嫉妬”も上司ブロックを誘発させる可能性があると指摘する。

境野氏「本業に支障を来さず副業ができる人というのは、基本的に優秀である場合が多いです。一般的な上司は、副業を通して部下が成長してくれることを喜ばしく思いますが、中には部下が自分の知らないところで活躍することに不快感を覚える心の狭い人もいます。また、年功序列が当たり前だったので、部下が自分よりも手取りが良くなることを受け入れられず、『副業で部下の収入が自分よりも高くなってしまうのでは……』という危機感から副業に良い顔をしない上司もいます」

会社がプライベートに口出しやすい現状も問題

 境野氏は、この社会に「公私混同」を悪とする考えが根付いていることも、副業が広まらないひとつの要因だと見る。

境野氏「ひとりの人間が、出社したら“公人”になって、退社したら“私人”に戻るということは難しいです。とある企業の人事が勤務時間外に仕事に関するSNS投稿をして、その内容に共感した学生が連絡を取ってそのまま面談をする……というケースも出てきており、公私を明確に分ける必要性もなくなってきています。自分の勤務先や所属などを細かく記入してSNSをやる人も増えているので、『公私混同は良くない』という考え方は改められるべきだと思います。

 また、『公私混同するな』と言いながら、定時後の自由に使って良い時間を『飲み会に参加しろ』と会社が指図するのは大きな矛盾があります。有給休暇についても、申請時に『なんで休むの?』と理由を聞かれることがありますが、有給休暇は理由に関係なく申請することができます。『公私混同は良くない』という建前の裏で、会社は“私”にめちゃくちゃ介入してくる文化がありますよね。そのことも上司ブロックをやりやすくしまっているので、そこを見直さないと副業は到底普及しません」

 日本における「公私混同」の使い方は、公(会社)が私(プライベート)を侵食することは当たり前で、その逆に私を公の場に持ち込むことはNGという、一方通行のスタイルのようだ。

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