マネー

仮想通貨はなぜ「暗号資産」へ名称変更になったのか?

【この記事のキーワード】
【画像完成】仮想通貨はなぜ「暗号資産」へ名称変更になったのか?の画像1

「Getty Images」より

 ビットコイン(Bitcoin)に代表される仮想通貨。「仮想通貨」という呼称がすっかり定着しているが、今後は呼び方が変わる。5月31日の参議院本会議で改正資金決済法が可決・成立し、2020年6月までに、仮想通貨の呼び方を「暗号資産」(Crypto-asset)へ変更することが決定したためだ。

 すでにG20などの国際会議では「暗号資産」の呼称が一般化していたことから、金融庁も「国際的な動向を踏まえた」ことを名称変更の理由に挙げている。

 これに伴って各メディアも「暗号資産」という呼び方を使い始めているため、現在は「仮想通貨」と「暗号資産」が混在している。しかし、なぜ「仮想通貨」から「暗号資産」に名称を変更したのだろうか。

仮想通貨と呼ばれていた経緯

 そもそも、なぜビットコインなどは「仮想通貨」と呼ばれていたのか。筆者が調べた範囲では、日本で「仮想通貨」という用語を使うに至った決め手となるほどの理由はわからなかった。

 日本ではFATF(金融活動作業部会)の法令などで、「virtual currency」を訳して「仮想通貨」としていた。FATFとは、マネーロンダリングへの対策で国際協力を推進するために設置された政府の機関だ。

 これにより「仮想通貨」が一般的に使われるようになったことから、金融庁も「仮想通貨」を使っていたともいわれている。しかし、日本ではビットコインなどの「仮想通貨」は「通貨」としては普及しなかった。その激しい価格変動から、キャピタルゲインを期待する投機対象になったのだ。特に2017年以降はビットコインへの投機が過熱した。

通貨としての脆弱性が指摘された「仮想通貨」

 2018年11月末からブエノスアイレスで開催されたG20サミットでは、マネーロンダリングやテロ資金に利用されやすい「暗号資産」に対する規制強化などが議論された。このときのG20の声明文が財務相のサイトに掲載されているので以下に抜粋して引用する。

 “我々は、暗号資産の基礎となる技術を含む技術革新が、金融システムの効率性と包摂性及びより広く経済を改善する可能性を有していることを認識する。しかしながら、暗号資産は実際、消費者及び投資家保護、市場の健全性、脱税、マネーロンダリング、並びにテロ資金供与に関する問題を提起する。”

(財務相『20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(仮訳)(2018年3月19-20日 於:アルゼンチン・ブエノスアイレス)』)

 「暗号資産」がマネーロンダリングに利用された例は、ビットコインが違法な麻薬売買サイトでの取引に利用されたケースなどがある。また、2018年に日本の大手仮想通貨取引所であったコインチェックから約580億円分がハッキングされた事件は、北朝鮮のハッカー集団による攻撃だとも指摘されており、テロ資金供与につながったのではないかといわれる。

 このように、「仮想通貨」は通貨としての脆弱性が指摘されたため、ドルや円のような法定通貨との区分を明確にするために国際会議としては初めて「暗号資産」という呼称が使われた。

 そして翌年の3月15日に、日本でも資金決済法並びに金融商品取引法の改正案に「仮想通貨」の規制強化が盛り込まれて、呼称も「暗号資産」に統一していくことが決定された。

1 2 3

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。