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Aマッソ・金属バットの差別ジョークが許されない理由は「色の薄い黒人はマシ」「黒人は泳げない」~アメリカの歴史を知ればわかる

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オフィシャルサイトより

 大阪の女性漫才コンビ・Aマッソ、やはり大阪の男性漫才コンビ・金属バットが、それぞれ先月(2019年9月)と、昨年(2018年12月)に黒人差別をネタとして使い、激しく批判される事態が続いている。特に大坂なおみ選手をネタとしたAマッソの件はイギリスBBCが報道し、大坂選手本人もツイートする騒ぎとなっている。

 9月22日、お笑いコンビ、Aマッソが東京でのライヴ公演中に「大坂なおみに必要なものは?」「漂白剤。あの人日焼けしすぎやろ!」のジョークを発した。これがSNSで厳しく批判され、2日後にAマッソと所属事務所のワタナベエンターテインメントが謝罪コメントを発表。しかし謝罪コメント中に大坂選手の名を出さなかったことに加え、「配慮を欠く発言」の文言が謝罪になっていないと、さらなる批判を招いた。

 謝罪の翌日、イギリスBBCのスポーツ・セクションが一連の経緯を報道。29日には大坂選手本人がこの件について、以下のツイートを行なった。

「”日焼けし過ぎ”(笑)これはすごいね。彼女たちは知らないと思うけど、資生堂アネッサのパーフェクトUVサンスクリーン使ってるから日焼けしたことないの」

 大坂選手は以前より資生堂がスポンサーとなっており、あえて商品名を出し、ユーモアをにじませたコメントとしている。多くのファンが、大坂選手は「優しい」「賢い」「クール」などとリプライしているが、「ユーモアでスルーすべき問題ではない、きちんと抗議すべき」といった趣旨のコメントもあった。

「黒人が触ったもん座れるか!」

 Aマッソの件が炎上した直後、金属バットが昨年12月に、やはり東京でのライヴ公演で披露したネタが黒人差別として掘り起こされた。

 以下は批判されている箇所からの抜粋。「早口言葉」を基にしたネタで、実際には書き出したセリフの間に相槌も含めて多少のセリフがある。

小林「生麦を食べるのは人間にあらず。生米を食べるのは人間にあらず。生卵を食べるのは日本人特有の文化だ。すなわち日本人は人間にあらず。イエローモンキーなのである」
友保「差別が入ったわ。あんたムチャクチャやわ、ほんとに。名誉白人ぶってるもん、お前」
小林「黒人、白人、黄色人種。みんな合わせて地球人」
友保「いいね、いいねぇ! 黒人も白人も黄色人種もね、差別なく、地球っていうひとつの星に住んでんねんから。地球人、差別なくキレイに生きよ。いいこと言ってんのよ、本当にねぇ。山田くん、ちょっと。コバちゃんに座布団、えー、40キロ持ってきて。黒人に運ばせてよ」
小林「なんで黒人に運ばすの。なんで黒人に運ばすのよ、お前。黒人が触ったもん座れるか!」

 Aマッソのジョークは黒人の生来の肌の色を否定するものであり、金属バットの最後の一言は「黒人が触ったものには触れたくない」という生理的嫌悪を表している。どちらも差別される側にはどうしようもない部分であり、意図にかかわらず許容できないジョークだ。しかしながら金属バットについては、全体がアンチ人種差別をテーマとしており、逆説として使った一節のみを取り上げての批判は誤っているとの声も出ている。

 こうした事態が起こる理由は、日本にはごく近年まで黒人がほとんどおらず、かつ欧米とアフリカにおける黒人の歴史、その歴史に基づく人種差別の激しさ、差別の手法、差別撤廃努力の長い道のり、および現状が知られていないことだ。

 今年は北米に初めて黒人が連行された1619年からちょうど400年目にあたり、米国各地で関連イヴェントが開催されている。逆に言えば、アメリカの黒人は人種差別を400年間にわたって受け続けているのである。

 黒人差別といえば、まずは殴る蹴る、銃で撃つ、公開リンチ、果ては殺害と、身体的暴力が思い浮かぶかもしれない。実際に過去400年の間に無数の黒人が身体的暴力の犠牲となってきたわけだが、現在に至るまでほぼ全ての黒人が対象となっているのが、制度的人種差別だ。政治や社会の仕組みによって教育、就職、蓄財どころか、最小限必要な生活環境すら与えられず、さらには司法制度の不均等(刑務所への大量収監)もある。

 身体的暴力を受けた経験はなく、制度的人種差別をかいくぐって中流もしくはそれ以上の階層に上っても、なお避けられない差別がある。それが言葉や態度による侮蔑だ。肌の色を揶揄、侮辱するのもまさにこれに当たる。

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