
「Getty Images」より
あおり運転による被害が後を絶たない。今月10日に茨城県守谷市の常磐道で、あおり運転による傷害事件が起き、テレビをはじめ非常に大きく報じられている。
この事件では車を運転していた男性会社員が後ろから来る白いSUV車にあおられ、前方に割り込まれて無理やり停車させられた。男は降車してきて、窓から「殺すぞ」などと怒鳴りつけ、男性を何度も殴りつけて顔や手にケガを負わせた。男は7月、静岡と愛知でもあおり運転をしており、18日に傷害容疑で逮捕された。
共同通信社によると、危険なあおり運転をしたとして各都道府県公安委員会が昨年1年間に免許停止の行政処分とした事案は、過去最多の42件だった。2014年からの4年間は年間4~7件しかなく、6~10倍超に急増している。
あおり運転につながる危険行為として、前の車との車間距離を詰め過ぎる「車間距離保持義務違反」の摘発も、2018年は1万3025件で、前年からほぼ倍増している。
約7割のドライバーが「あおり運転された経験あり」
あおり運転が社会問題化したのは、2年前の2017年6月、神奈川県の東名高速道路で発生した死亡事故が発端だ。夫婦と娘2人の4人を乗せたワゴン車に、後続車があおり運転を繰り返し、無理やり停車させたところに大型トラックが衝突。両親が亡くなった。
この事件をきっかけに、あおり運転を軽視してきた風潮を見直そうという社会の空気が強まった。2018年1月、警察庁は全国の警察に、あおり運転などの悪質・危険な運転に対して危険運転致死傷罪・暴行罪などを適用し、厳正に捜査するように求めた。それにより、事故に至らなくても、暴行や脅迫などの事実が認められれば、免許停止などの処分を下せるようになった。取り締まりも強化された。
それでも、依然としてあおり運転は各地で相次いでいる。保険会社のチューリッヒが2018年に全国のドライバー2,230人を対象に行ったあおり運転に関する調査によると、あおり運転された経験があると答えたドライバーは約7割にも上っている。
ドライブレコーダーの普及率は前年のほぼ2倍に
あおり運転の社会問題化にともなって、普及率が高まったのが、ドライブレコーダーだ。
ソニー損害保険が2018年12月に発表した「全国カーライフ実態調査」によると、ドライブレコーダーの搭載率は31.7%。前年のほぼ2倍になった。
同調査報告書には「あおり運転の報道を目にするなどして、ドライブレコーダーの必要性を感じる方がこの1年で増えたことが推測されます」との説明があるが、うなずける話だ。冒頭の常磐道あおり運転傷害事件の被害者もドライブレコーダーを搭載しており、その記録が容疑者の特定につながったという。
車に取り付けて映像と音声を記録するドライブレコーダーは、トラブルの際の状況を再現したり、証拠を残すのに役立つ。また、相手からも目視できるドライブレコーダーを前後に設置すれば、あおろうとする運転手への抑止力にもなる。
まだ設置していない人のために、どんなドライブレコーダーを選べばよいのか、専門サイトによるポイントを次章にまとめた。
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