京アニ犠牲者の身元公表をマスコミがしつこく求める理由はなぜ? 「畜生以下」と批判殺到も

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写真:アフロ

 京都市にあるアニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオが放火され、35人が死亡、34人が重軽傷を負うあまりに悲惨な事件が発生してから1ヵ月が経過した。大手マスコミは今なお、京都府警に犠牲者の身元を公表するよう求めている。

 京都府内の報道12社(朝日新聞京都支局・NHK京都放送局・京都新聞社・京都放送・共同通信社京都支局・産経新聞京都支局・時事通信京都支局・中日新聞社京都支局・日刊工業新聞社京都総局・日本経済新聞京都支局・毎日新聞社京都支局・読売新聞社京都支局)からなる「在洛新聞放送編集責任者会議」は20日、京都府警に対して「事件の全体像が正確に伝わらない」「過去の事件に比べても極めて異例」などを理由に、35人の犠牲者のうち身元を公表していない25人の速やかな公表を求める申し入れ書を提出した。

 マスコミはこれまで親族や親友に対しても、犠牲者に関する情報提供を呼び掛けている。共同通信社大阪社会部は今月2日、「京都アニメーションの事件でお亡くなりになった方のご家族や親友の皆様へ」というタイトルの声明を出したが、その内容はこうだ。

<「死者35人」という数字だけで終わらせたくありません>
<お一人一人がどんな風に夢を抱いて、これまでの人生でどのような努力をして京都アニメーションという制作会社へたどり着いたのか。そこでどのような思いで仕事をされていたのか>
<ご親族や本当に仲が良かった親友のあなたにこそ、無理のない範囲でお話を聞かせていただきたいのです>

 「死者35人」が単なる数字ではないことくらい、誰でもわかることだ。「犠牲者の人となり」が明らかでなければ、事件の悲惨さを伝えることは不可能なのか。なぜ犠牲者のパーソナリティを知る必要があるのだろうか。

 なにより、大切な人が亡くなって悲しみに暮れている親族や親友から、犠牲者の話を聞き出そうと躍起になる姿勢には、違和感を通り越して憤りを覚える。

 デイリー新潮の記事によると、京都府警は当初、犠牲者の名前を全員公表する予定だったが、遺族にアンケートを取った結果、25名の犠牲者の遺族が匿名を希望したため公表しなかったという。つまり、京都府警が犠牲者の身元を公表しないのは“遺族の意志”であり、それを無理やり公表させようとするのはおかしい。

 そもそも、すでに遺族が許可した犠牲者の氏名は公表されており、遺族の取材記事も複数出ている。にもかかわらず、公表を拒否している遺族にまで取材を迫る必要性がどこにあろう。

多くの人がマスコミの対応に怒り

 遺族が公表を拒否しているにもかかわらず京都府警に公表を求めるマスコミのやり方に、ネット上では、「遺族の気持ちや配慮を欠けることは、真実を伝えるものではなく、エゴイズムを伝染させるもの」「人の不幸を食い物にする、畜生以下」など厳しい批判が相次いでいる。

 また、京アニ被害者の遺族を名乗るツイッターアカウントが先月、<記者達がどこから嗅ぎつけたのか、実家に押しかけ、葬儀場に連絡し、黙って押しかけ勝手に撮影しています。何がしたいんですか?そんなに悲しむ様子を撮って面白いですか?報道の自由って、何ですか?死体蹴りですか?私達のプライバシーは無視ですか?>と投稿したことも、大きな反響を集めた。この投稿者が本当に遺族なのかは不明だが、これだけの反響を集めたということは、マスコミによる遺族への接触に嫌悪感を示す人の多さを表している。

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