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「新ふるさと納税」悪質な返礼品で逮捕者も スタートしたばかりで早くも問題続出

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総務省 ふるさと納税ポータルサイトより

 6月1日に新制度がスタートした「ふるさと納税」だが、早くも問題が山積し、多難な船出となっている。

 「ふるさと納税」とは、2008年度の税制改正で、都道府県・市区町村に対する寄附金税制の見直しにより創設された寄付金制度だ。自己負担額の2000円を超える寄付金は所得税および住民税から控除を受けられるため、地域の返礼品をお得に貰うことができる。

当初は、控除を受けるためには、寄付を行った翌年に確定申告を行う必要があったが、2015年度の税制改正で「ワンストップ特例制度」が設けられ、確定申告をしなくても寄附金控除が受けられるようになった。

 しかし、「ふるさと納税」は自分の生まれ故郷だけではなく、応援したい自治体に寄付を行えることから、寄付金を求めた各自治体が試行錯誤した結果“返礼品競争”が激化。これを受けて、総務省は2015年4月、「換金性の高いプリペイドカード等や高額又は寄附額に対し返礼割合の高い返礼品を送付しないこと」を自治体に求めた。

 それでも返礼品競争が収まらないことに業を煮やした総務省は、2019年6月1日以降のふるさと納税に、「①返礼品の返礼割合を納税額の3割以下とすること」「②返礼品を地場産品とすること」――などの条件を満たす自治体のみを、ふるさと納税の特例控除が受けられる条件として指定することを決めた。

 ところが、これが様々な問題を引き起こすことになった。大阪府泉佐野市、静岡県小山町、和歌山県高野町、佐賀県みやき町の4市町は、「返礼割合3割超」かつ「地場産品以外」の返礼品を継続して提供しており、さらには「Amazonギフト券」などの金券類を新たに返礼品に加える“ルール違反”をしたとして、ふるさと納税制度の指定自治体から除外されることに。

この措置を受けた泉佐野市の八島弘之副市長は総務省を猛烈に批判。6月には、総務省の判断が「自治体の自主性を尊重する地方自治法に反する」として除外取り消し勧告を求め、第三者機関である「国地方係争処理委員会」に審査を申し出て大騒ぎとなった。現在、同4市町村はふるさと納税による寄付を募っていない

 確かに、新たなふるさと納税制度にはその問題点を指摘する自治体関係者も多い。特に、返礼品を「地場産品」に限定されたことで、「魅力的な地場産品がある自治体と、ない自治体では競争条件に不公平が生まれる」「地場産品に魅力的なものがない場合には、ふるさと納税が集まらなくなる」という反発の声も多く上がっている。

「新ふるさと納税」、早くも見直しを検討?

 かくして新たなスタートを切った「ふるさと納税」だが、すでに様々な問題が勃発している。

 まず、総務省が8月2日に発表した2018年度のふるさと納税の実績によると、寄付総額は前年度比約1.4倍の約5127億円に、件数は同約1.3倍の約2322万件に増加、6年連続で過去最高を更新した。ふるさと納税の受入額上位5団体は以下の通りだ。
 
自治体名     寄付額     件数
大阪府泉佐野市  約498億円   2,502,250件
静岡県小山町   約251億円    296,293件
和歌山県高野町  約196億円    141,155件
佐賀県みやき町  約168億円    227,850件
宮崎県都農町   約96億円     585,450件

 自治体別の上位5のうち4市町は、今年6月にふるさと納税制度の指定自治体から除外された自治体だった。トップの泉佐野市は前年度の135億円の3.7倍となる約498億円を集めた。全体の寄付額が約5127億円なので、同市だけで全体の約10%を集めたことになる。これは、北海道全体の寄付額504億円に匹敵する。また、今年6月に指定外となった上位4市町が集めた寄付金の総額は1110億円となり、これは全体の寄付額の約22%にも上る。

 確かに、これだけ多額の寄付金収入で潤っていたところを、指定自治体から除外されたことでいきなり寄付金がなくなると、自治体の予算上、大きな問題となるだろう。自治体関係者の「ふるさと納税額が減ることで、行政サービスが低下する可能性もある」との声にも頷ける。

 泉佐野市がふるさと納税制度の指定自治体から除外された問題を審査している「国地方係争処理委員会」は、この問題について9月9日までに結論を出すとしている。この結果次第では、ふるさと納税制度の内容が再び変更される可能性もありそうだ。

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