オセロをひっくり返すように
対談を終えて質疑応答に移ると、来場者からは「フェミニズムに興味がない人に、性差別を“自分事”として認識してもらうためには、どうしたらいいか」という質問が出た。
小川:私は、特効薬のようなものはないと思っています。ジワジワとオセロをひっくり返すように、水面下でレジスタンス的にフェミを増やしていって、いつのまにかどの業界にもフェミがいる、経団連も3~4割フェミが占めていた、みたいな状況になっていかないと。私みたいなライターの言葉じゃ経団連のトップにいるおじさんの気持ちは変わらないかもしれないけれど、私の言葉で背中を押された誰かが誰かの背中を押して、その人が誰かを変えてって、地道に、オセロをひっくり返していくしかないんだと思います。
西口:小川さんと同じような答えなんですが、自分の身近なところで話題に出していくのがいいのかなと思います。ふだん生活している中で多くの時間を過ごす、パートナーや家族、友達、職場の人に自分の問題意識を伝えて、相手の意見を聞いてみる。その積み重ねが大切だと思います。
「男女平等にしていく必要があると思う人は、みんなフェミニストである」――トークイベントの中で挙がった定義に添えば、フェミニズムは、堅苦しく考えることではない。フェミニズムは誰もが考え、発信してよいことである。ただ、世の中の性差別に疑問を感じても、それを口に出して行動に移すことはなかなか難しい。筆者もそのひとりだ。
小川さんからは、「今モヤモヤしているなら、その人のタイミングで必要となる瞬間がいずれ来るものだと思います」、西口さんからは、「みんなも声をあげましょう、というわけではなく、気づいた人が言葉にしたい時に声を出せるような環境にしていくことが必要です」という、温かいメッセージをいただいた。
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