
「Getty Images」より
いよいよ決勝を迎えた全国高校野球選手権大会。今年も例年通り、高校球児たちの熱いプレーに胸を躍らせた人は多いことだろう。
甲子園の熱戦もさることながら、今年の高校野球に関するトピックスで最も注目を集めたのが、「大船渡高校の國保陽平監督は佐々木朗希投手を岩手県大会の決勝戦に出場させるべきだったか?」ではないだろうか。
プロ野球解説者の張本勲氏がテレビ番組内で「絶対に投げさせるべきなんですよ」と発言し、シカゴ・カブスに所属するダルビッシュ有は「他のメンバー、家族も仲のいいチームメイトが壊れてでも投げてほしくないでしょ」とツイートするなど、賛否あわせて大議論が展開された。
ただ、「佐々木投手を投げさせるべきかどうか」という議論をする以前に、筆者が引っかかりを覚えた点が1つある。それは、「本職が高校教師なのに過度な采配を求めすぎていないか?」ということだ。
この議論で頻繁に挙げられたのが、7月24日の準決勝では佐々木投手を出場させたのに、翌日の決勝戦では出場させなかった点である。準決勝は佐々木投手を投げさせて勝ちにいったのに、決勝では佐々木投手を投げさせなかったことに矛盾を感じる人は少なくなかった。しかし、負けたら即終了のトーナメント戦において、あらゆる可能性を想定して投手を起用することは、プロ野球の監督でも難しいはずだ。目の前の試合の勝利を目指しつつも、選手の身体も気遣いながら大会を勝ち抜く。この采配を、プロの監督ではなく高校教師がしているのだ。
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