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失業保険、自分はいくらもらえる? 仕事を辞めたらすぐにやってほしいお金の手続き

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「Getty Images」より

 何らかの理由で失業状態になり収入がなくなってしまった際、心強い制度といえるが「失業保険」です。とはいえ、「失業保険」が具体的にどのようなもので、どういった条件を満たしていれば受け取れるのかなど、知る機会はなかなかありません。

 「失業保険」はどんな時に、どんなふうに私たちを助けてくれるのか。また、失業保険以外に失業時に役立つ制度もご紹介します。

失業保険とは?

 実は、「失業保険」という名称の保険は存在しません。日本における「失業保険」とは、「雇用保険」の給付の1つ、「基本手当」のことを指しています。(以下ではわかりやすいように「失業保険」とします)

 社会保険の1つである「雇用保険」は、失業時以外にも、育児や介護などで休職する際に、一定条件を満たせばお金がもらえる制度として存在しています。雇用保険の保険料は、被雇用者(被保険者)の毎月の給与から天引きされているほか、事業主も負担しています。雇用保険を管轄するのは厚生労働省で、その窓口は公共職業安定所(ハローワーク)です。

 失業状態にあると認められた場合にもらえる「失業保険」。支給要件は、雇用保険被保険者が、失業状態にあることに加えて、離職日以前の2年間に「被保険者期間」が通算12カ月以上あること。ただし、後述する「特定受給資格者」や「特定理由離職者」に該当する人は、)離職日以前の1年間に、被保険者期間が通算6カ月以上あれば対象となります。

失業保険でもらえる金額は?

 では、実際に失業した時、失業保険はいくらもらえるのでしょうか。これは、失業保険日額×失業期間となります。

 「失業保険日額」がどうやって決まるのかというと、原則、離職した日の直前の6カ月間に支払われていた賃金の合計を180で割った金額のおよそ45~80%。この比率は、賃金の低い人ほど高い率で設定されています。一方で年齢区分ごとに上限額もあり、30歳未満は6,815円、30歳以上45歳未満は7,570円、45歳以上60歳未満は8,335円、60歳以上65歳未満は7,150円です。

 また、離職日以降、この失業保険が「いつから」「何日間(所定給付日数)」支給されるのかは、雇用保険の加入期間や、失業理由、年齢によって変わってきます。

会社都合退職の場合

 解雇や倒産など会社都合で失業した場合は「特定受給資格者」、疾病や妊娠、事業所の移転により通勤が困難など正当な理由で自己都合退職した場合は「特定理由離職者」に該当します。これらの場合に支給される日数は、以下の通りです。

・被保険者期間が1年未満:年齢にかかわらず90日
・被保険者期間が1年以上5年未満:30歳未満は90日、30歳以上35歳未満は120日、35歳以上45歳未満は150日、45歳以上60歳未満は180日、60歳以上65歳未満は150日
・被保険者期間が5年以上10年未満:30歳未満は120日、30歳以上45歳未満は180日、45歳以上60歳未満は240日、60歳以上65歳未満は180日
・被保険者期間が10年以上20年未満:30歳未満は180日、30歳以上35歳未満は210日、35歳以上45歳未満は240日、45歳以上60歳未満は270日、60歳以上65歳未満は210日
・被保険者期間が20年以上:30歳以上35歳未満は240日、35歳以上45歳未満は270日、45歳以上60歳未満は330日、60歳以上65歳未満は240日

自己都合退職の場合

 自己都合による離職の場合、ハローワークに離職票を持って出向き、失業認定がなされても、すぐに失業保険の支給対象となるわけではなく、3カ月の給付制限期間があります。つまり自己都合退職の場合、失業により無収入になっても最初の3カ月間は給付されないので、預貯金などでやりくりしなければなりません。

失業保険をもらうための手続き

 「離職」した人が失業保険をもらうには、いくつかの手続きが必要です。

 まずは離職後、居住地の管轄のハローワークに出向いて、受給資格の申請をします。窓口で、「求職申込」を行い、「離職票(雇用保険被保険者離職票)」を提出。受給資格があることが確認されると、職員から「雇用保険受給資格者のしおり」が渡され、「受給説明会」の日程が案内されます。

 受給説明会では雇用保険制度の説明がなされ、「雇用保険受給資格者証」「失業認定申告書」が渡され、第1回目「失業認定日(失業状態であることが認定される日)」も知らされます。失業認定を受けるまでの間は、積極的な求職活動が望まれます。

 その後、原則4週間に1度、「失業の認定(失業状態にあることの確認)」が行われ、受給資格者は「失業認定申告書」「雇用保険受給資格者証」を提出します。

失業保険の待期期間や受給中にアルバイトは可能? バレない?

 失業保険の待期期間や、給付制限期間、あるいは失業保険受給中にアルバイトが可能なのかというと、ハローワークで手続きを行った受給資格決定日を含む7日間の待期期間中は、アルバイトなどの労働はできません。少しでも収入を得れば、待期期間の延長となるため、要注意。

 待期期間終了後は、給付制限期間の3カ月も失業保険受給中もアルバイト自体は可能。ただし、いずれも、一定の条件が設けられています。

 まず、給付制限期間は、雇用保険の加入条件を満たすほどの労働を行うと、ハローワーク側が「就職した」と見なす可能性があります。勤務日数や労働時間など、「就職した」と見なす基準は各ハローワークによって若干の違いがありますが、大まかなラインは、雇用保険加入条件の「週20時間以上の労働」「31日以上雇用される見込み」です。

 失業保険受給中にアルバイトをする場合は、「失業認定申告書」の提出時に、アルバイト申告を行うことが義務付けられています。失業保険受給中に1日4時間以上の労働を行うと、労働日数分だけ失業保険の支給が先送りとなり、所定給付日数が来ればその時点で支給は終了となります。1日4時間以下の労働の場合は、収入金額に応じて失業保険が減額されます。

 貯蓄に余裕がないなどで、給付制限期間や失業保険受給中にアルバイトをしたいと考えている人は、あらかじめハローワークに相談しておくことをお勧めします。もし内緒でアルバイトを開始し、それがハローワークにバレて「不正受給」と見なされた場合、ペナルティとして受給額の3倍の金額を納付しなければなりません。現在は「マイナンバー」も機能しているため、昔に比べてバレやすくなっています。嘘をつく意図はなくとも、うっかり申請漏れのないようにしてください。

失業保険受給中は扶養に入れる?

 給付制限期間中や失業保険受給中、「年収130万円以下」という条件を満たしていれば、家族の扶養に入ることができます。というのも健康保険組合で、被保険者(=従業員)の扶養に入れるのが「年収130万円以下」というルールになっているからです。

 そのため失業保険受給中は、失業保険日額×360日で算出した金額が130万円以下であれば、家族の扶養に入れます。場合によっては、給付制限期間中は扶養に入り、失業保険受給が始まると扶養から抜ける、ということもあり得ます。

失業中に受け取れる失業保険以外のお金・支援

 雇用保険では、失業保険(失業給付)のほかにも、失業に際して受け取れる可能性のあるお金や支援が用意されています。

再就職手当

 待期期間満了後、早期に再就職先が決まった時に支給されるのが「再就職手当」。なるべく早く再就職したほうが、支給額は高くなる仕組みになっています。

 給付制限期間のない人(特定受給資格者や特定理由離職者)は、待期期間満了後、失業保険の残日数が3分の1以上残っているうちに再就職すれば、就職の経路を問わず受け取ることができます。

 給付制限期間がある人の場合は、待期期間満了後、最初の1カ月はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で再就職した場合に支給され、それ以降の再就職では就職経路は問わず失業保険残日数30日以上であれば支給対象となります。

 再就職手当の申請は、就職日の翌日から1カ月以内に支給申請書を最寄りのハローワークに提出しなければならず、窓口持参のほか、郵送でも可能となっています。

 また、再就職手当を受給した人が再就職先に6カ月以上雇用され、かつ再就職先の賃金の1日分の額が離職前の賃金の1日分の額より低い場合には「就業促進定着手当」が支給されます。

 一方で、退職時にはすでに次の就職先が決まっている転職者も少なくありません。その場合はどうなるのか。 結論から言えば、離職時にすでに再就職先(1週間に20時間以上の労働)が決まっている場合、「再就職手当」は受け取れません。雇用保険はあくまでも失業に対応するものなので、失業期間がないのであれば保険でカバーする必要はないということです。

 ただしその場合、雇用保険の加入期間はリセットされず通算されていきます。また、再就職先をすぐに辞めた場合に失業保険を受けたいとなったら、その前の離職時に発行された離職票も必要になるため、離職票は4年間は保管しておいてください。

傷病手当

 「傷病手当」は、受給資格者が求職申込後、「15日以上引き続いて疾病又は負傷のために職業に就くことができない」と認められた場合に、失業保険に代わって支給される手当です。

 支給額は失業保険日額と同額であり、「30日以上引き続いて疾病又は負傷のために職業に就くことができない」場合は、受給資格者が申し出れば、受給期間を最大4年間まで延長できます。14日以内の疾病や負傷の場合は、失業保険が支給されます。なお、健康保険の傷病手当金とは別物です。

求職者支援制度

 失業中ですが雇用保険が適用されない人たち(失業保険受給中に再就職ができなかった、雇用保険の加入期間が足りず失業保険が支給されない、自営廃業、就職先が決まらないまま学校を卒業したなど)を「特定求職者」として支援するのが「求職者支援制度」です。

 特定求職者は、無料で「求職者支援訓練」や「公共職業訓練」を受講することができます(テキスト代は自己負担)。申し込みの窓口はハローワークとなります。

職業訓練受講給付金

 特定求職者で一定要件を満たした人に支給される「職業訓練受講給付金」には、「職業訓練受講手当」「通所手当」「寄宿手当」があります。

・職業訓練受講手当…月額10万円
・通所手当…職業訓練を受講するにあたってかかる交通費(上限あり)
・寄宿手当…月額10,700円 (職業訓練を受講するにあたり、配偶者などと別居して寄宿した場合に支給される)

 職業訓練受講給付金は、支給単位期間(原則1カ月)ごとに支給され、支給単位期間が終わるごとに、指定された日にハローワークに来所し、職業訓練受講給付金の支給申請と職業相談を行います。

 支給要件は以下の通りです。

(1)本人収入が月8万円以下 
(2)世帯全体の収入が月25万円以下 
(3) 世帯全体の金融資産が300万円以下 
(4)現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない 
(5)全ての訓練実施日に出席している(やむを得ない理由がある場合でも、支給単位期間ごとに8割以上の出席率がある)
(6)世帯の中に同時にこの給付金を受給して訓練を受けている人がいない 
(7)過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けたことがない 

 (1)~(7)のすべての要件を満たしていなければなりません。あくまでも、職業訓練および求職活動に熱心な人を応援するための制度であり、一度でも訓練を欠席・遅刻・欠課、早退、ハローワークの就職支援を拒否すると「職業訓練受講給付金」は受給できなくなります。また、たとえやむを得ない理由による欠席でも、支給単位期間ごとに出席率が8割以上に達していない場合は受給できません。

家賃補助

 「住居確保給付金」という、家賃補助の制度もあります。

支給対象者は

・申請日において65歳未満であって、離職等後2年以内の者
・離職等の前に世帯の生計を主として維持していたこと
・ハローワークに求職の申し込みをしていること
・国の雇用施策による給付(職業訓練受講給付金)等を受けていないこと

支給要件は

(1)収入要件:申請月の世帯収入合計額が、基準額(市町村民税均等割が非課税となる収入額の12分の1)+家賃額以下であること。家賃額は、住宅扶助特別基準額が上限。※雇用保険の失業等給付、児童扶養手当等各種手当、年金等の公的給付については収入として算定する。
(2)資産要件:申請時の世帯の預貯金合計額が、基準額×6(ただし100万円を超えない額)以下であること。※単身世帯:50.4万円(8.4万円×6)、2人世帯:78万円(13万円×6)、3人以上世帯: 100万円以下。
(3)就職活動要件:ハローワークでの月2回以上の職業相談、自治体での月4回以上の面接支援等。

 支給額は、賃貸住宅の家賃額です。上限額は住宅扶助特別基準額で、たとえば東京都1級地の場合は単身世帯は53,700円、2人世帯は64,000円までとされています。支給期間は原則3カ月間ですが、就職活動をしっかりと行っている場合は延長も可能で最長9カ月まで支給されます。

 「住居確保給付金」は、支給要件を満たしていれば、雇用保険加入の有無を問わず支給されますが「職業訓練受講給付金」との併用はできません。相談窓口は、ハローワークではなく、各自治体や都道府県の福祉事務所などに設置されている自立相談支援機関となっています。

国民年金保険料特例免除

 失業などの事情で国民年金保険料を納めることが困難になった際、申請できるのが「国民年金保険料特例免除」です。承認されると保険料の納付が免除、あるいは猶予となります。免除額は4種類あり、全額、4分の3、半額、4分の1です。

 雇用保険被保険者だった人が失業を理由として国民年金保険料の免除・納付猶予の申請を行う場合、必要な書類は、申請用紙、年金手帳または基礎年金番号通知書、雇用保険受給資格者証の写しまたは雇用保険被保険者離職票等の写し(雇用保険の被保険者であった方が失業等による申請を行う場合)。

 申請先は、住民登録をしている自治体の国民年金担当窓口で、郵送も可能です。

国民健康保険料の軽減

 離職日時点で65歳未満であり、「特定受給資格者」または「特定理由離職者」として失業保険を受給できる人は、国民健康保険料の軽減措置が適用されます。申請先は、各自治体の国民健康保険の担当窓口です。届出に必要となるのは、国民健康保険被保険者証、雇用保険受給資格者証、印鑑です。

 軽減内容は、離職者の「給与所得」を100分の30として保険料を算定します。軽減期間は、離職日の翌日が属する月から、翌年度3月31日まで(軽減期間内に国民健康保険の資格を喪失する場合は、喪失までの期間)。

住民税の減免・分納

 失業によって所得が減った場合、住民税の減免を認めている自治体もあります。

 各自治体によって、申請に必要な書類は異なりますが、自治体の市民税・区民税の担当部署が窓口となっており、雇用保険受給資格者証や給与明細書、疾病や負傷による失業の場合は医師による診断書などの提出が義務付けられている場合が多いようです。減免額などの詳細は、お住まいの自治体に電話などで問い合わせてご確認ください。

 どこに問い合わせたらいいのかわからない場合、住んでいる地域の区役所、市役所など役場の代表電話番号にかけて何を知りたいのかを伝えれば、担当部署の窓口につないでもらえたり、該当機関の電話番号を教えてくれたり、必要な情報を得られるはずです。

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