社会

ジャニー喜多川氏の性的虐待、裁判所で真実と認められても闇に葬られた現実

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 先に紹介した「BBCニュース」のジャニー氏訃報記事では、やはりこんな記述がある。

<彼の事務所は業界を支配していたため、ジャニー喜多川には誰も触れることができず、あえて強大な事務所を脅かそうとする日本の主要メディアはいなかった>

日本版『ネバーランドにさよならを』がつくられる必要性

 もちろん、亡くなってすぐに故人に対する批判を行うのは不謹慎であるという感情論も理解できなくはない。

 しかし、たとえば、今年3月に亡くなった萩原健一の訃報を伝える際には、俳優・ミュージシャンとしての功績のみならず、大麻取締法違反、飲酒運転、出演料をめぐる恐喝未遂容疑といった、過去の逮捕歴も同時に報道するメディアが多かった。

 であれば、ジャニー氏の訃報を伝える際、男性アイドルの市場を盛り上げた功績だけでなく、その裏で確かに起きていた性虐待に言及するのもメディアとして当然の責務なのではないだろうか。

 エンターテインメント業界の超大物による性的虐待疑惑といえば、海外ではマイケル・ジャクソンによる事例が真っ先に挙げられる。

 もちろんマイケルは世界のエンタメを牛耳る立場の人物ではなかったが、偉大なアーティストだった。それでも海外ではマイケルの事例に関してメディアが口をつぐむようなことは起きなかった。

 没後10年を迎えた今年は、マイケルに性的虐待を受けたと告発する被害者のドキュメンタリー『Leaving Neverland』(日本では『ネバーランドにさよならを』という邦題でNetflixにて配信されている)が大きな話題を呼んだ。

 イギリスのChannel 4とアメリカのHBOが共同製作した『ネバーランドにさよならを』は、内容の真偽について議論のある作品ではあるが、少なくとも芸能界の超大物が抱える性的虐待問題にメディアが踏み混むことは出来ている。

 性的虐待の被害者を生み出さないため、また、メディアの公平性のためにも、日本のテレビ局はジャニー氏の過去について正しく報道し、かつ、『ネバーランドにさよならを』のような検証企画を製作することが求められているのではないか。

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