ローソン、セブンイレブン、ニューデイズも コンビニを皮切りに無人店舗・キャッシュレス社会が始まる

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ニューデイズの店舗

 米国のアマゾンの「Amazon Go」や中国のアリババの「盒馬鮮生(フーマフレッシュ)」など、海外ではキャッシュレス・無人店舗が出現し、実用化が進むなか、日本国内でもコンビニを中心に 実証実験が始まっている。

 その背景には深刻な人手不足があり、混雑時のレジ待ちを解消する必要があること。さらに、人件費コストの削減や新たな出店が可能となり、モバイル決済による顧客情報の取得という経営的なメリットもある。

最も積極的に無人店舗化を進めるローソン

 ローソンは、今年8月に24時から5時までの夜間、レジに店員がいない無人営業とする実験を、直営店と加盟店の2店舗でスタートした。

 利用者は事前にスマホの専用アプリに登録し、店舗入口でアプリ上に表示されるQRコードを読み取ることでドアの開錠を行い入店。商品のバーコードをスマホのカメラで読み取り、店内のどこでも決済できる「ローソンスマホレジ」で精算する。現金での支払いもできるセルフレジも設置している。

 たばこ・酒類、カウンターファストフーズ、切手類、収納代行やチケット発券など、店員が必要な商品・サービスの販売は行わないが、これまでの店舗同様に商品を販売する。

 当初は店舗に商品の片付け作業やシステムなどのトラブルに備え1名を配置、バックヤードで勤務を行うが、時期を見て完全無人化に移行する予定だ。防犯対策として店舗に設置している防犯カメラも増やす。

 これに先立ち、昨年4月には都内の直営店3店舗で、スマホレジの実験を実施。ピーク時の精算にかかる時間が、通常のレジと比較して約4分の1に短縮。現在、全国の100店舗以上に導入され、今期中に1000店舗まで拡大させる考えだ。

セブンイレブンはNECグループと組み、“省人店舗”を展開

 セブンイレブンも、昨年12月、NECが技術協力し、NECグループの企業が入居する東京の三田国際ビルに、顔認証で入店する店舗を設け検証中だ。

 事前に登録した顔のデータと、入口で捉えた顔を照合、顔認証システムを社員証とひも付け、社員証をかざしての入店も可能にする。決済は、客自身がバーコードを読み取るセルフレジで行い、給与天引きで精算する。

 セブンイレブン・ジャパンでは、無人ではなく“省人店舗”と位置づけ、利用者を限定するオフィス、工場、病院などのマイクロ・マーケット(極小商圏)店舗への展開を想定しており、いまのところ通常店舗への導入は考えていないという。

 売場面積は約26㎡で、おにぎり、サンドイッチ、パン、飲料、菓子、カップラーメン、雑貨など、約400アイテムを揃え、セルフコーヒーマシンの「セブンカフェ」も設置している。

無人店舗化するのはコンビニだけではない

 ファミリーマートもパナソニックと組んで、同様の取り組みを実証実験中だ。今年4月にオープンした「佐江戸店」(横浜市)は、パナソニックが運営するフランチャイズ店舗。イートインスペースを備え、店舗面積は約250㎡。

 近くにはパナソニックの事業所があり、顔認証の登録済みの同社の社員に限り、顔認証のゲートを通って入店し、店内で商品を選んで、レジで顔認証を行い、暗証番号を入力し決済する。

 各チェーンとも取り組み姿勢が異なり温度差はあるが、今後、コンビニに限らず、キャッシュレス・無人店舗の展開は急速に進んでいくと考えられる。

 一方で、グループ企業が駅構内で売店の「キヨスク」や、コンビニの「NewDays(ニューデイズ)」などを展開しているJR東日本でも取り組みがスタートしている。

 2017年11月6日からの17日間、JR大宮駅構内において、AI無人決済システム「スーパーワンダーレジ」を導入し、約26㎡の店内にニューデイズの飲料、おにぎり、菓子類など約130の商品を揃えた、無人決済店舗の実証実験を行った。

 入口にある読み取り機に、「Suica(スイカ)」などの交通系電子マネーをかざして入店する。商品を選ぶと、カメラなどのセンサーが把握し、出口の前の壁掛けディスプレイに購入する商品名と金額が表示され、電子マネーで精算すると出口が開く仕組みだ。

 この時は一度に1人しか入店できず、同時に複数の商品を手に取ることができなかったが、その後一度に3人まで入店、2つの商品を取ることを可能にし、昨年10月17日から約2カ月間、JR赤羽駅のホームに同様の店舗を設置した。

 最新のAI技術を活用し、無人店舗の実用化に取り組む一方で、セルフレジを導入した簡易版ともいえるキャッシュレス・無人店舗も登場した。JR中央線武蔵境駅のノノワ改札口外に7月30日オープンした「ニューデイズ武蔵境nonowa(ノノワ)口」だ。店舗面積は25㎡のミニ店舗。精算はすべて2台のセルフレジで行い、客は通常の店舗と同じく売場で商品を選び、交通系電子マネーとクレジットカードで決済、袋詰めも自分で行う。操作など不明な点があれば常時1名いるスタッフが対応する。

 大宮と赤羽では入出退手続きが必要で入場制限もあったが、ニューデイズ武蔵境nonowa口は、手軽に利用できるキャッシュレス・無人店舗。酒、タバコが扱えないなど不便もあるが、店舗を運営するJR東日本リテールネットでは、同店で実験検証しながら、今期中に2号店を出店する予定だ。

 PayPay(ペイペイ)などスマホ決済の普及や、無人店舗に必要なAI・IT技術も進化し、キャッシュレス社会に向けて政府も2025年キャッシュレス比率40%の目標を掲げている。キャッシュレス・無人店舗は、そこから得られる個人情報の取り扱いをクリアすれば、利用者にとっても利便性が高く、使い勝手の良い店舗になる。

 現金志向が強いといわれる日本人の意識も、今後は世代交代により変わっていくだろう。人口減の少子高齢化により働き手が減少していくなかで、店舗は無人でキャッシュレスというのが当たり前という時代がやってくる。そのとき、人が接客する店舗はどういう価値を提供できるかが問われることになる。

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