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『ドクターX』で絶好調の米倉涼子、ミュージカル俳優としての実力は?

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 劇場へ足を運んだ観客と演じ手だけが共有することができる、その場限りのエンタテインメント、舞台。まったく同じものは二度とはないからこそ、ときに舞台では、ドラマや映画などの映像では踏み込めない大胆できわどい表現が可能です。

 まだまだ暑い日が続いていますが、秋スタートの新ドラマが盛り上がってくる時期になりました。今秋の目玉は、テレビ朝日「ドクターX」新シリーズでしょう。主演の米倉涼子が続演に首を振ったとか振らないとか、かねてから話題になっていましたが、そんなテレビドラマ界の大スターである彼女がこの夏、喜んで3回目の主演をしていた舞台作品があります。それは、女のプライドを懸けた壮絶バトルを描いた名作ミュージカル「CHICAGO」。ミュージカルの本場ブロードウェイで外国人キャストを率いて主演し、日本でも大阪と東京で凱旋公演されました。

英語での歌唱も及第点

「CHICAGO」は、ブロードウェイで20年以上ロングランし、世界30カ国以上で上演されている、最も人気のあるミュージカル作品のひとつです。実在の殺人事件をモデルにした戯曲を基に、ミュージカル界のカリスマ振付家ボブ・フォッシーの手により、1975年にオリジナル版が初演され、トニー賞で11部門にノミネート。伝説の作品として扱われていましたが、1996年にリバイバル版が上演され同賞の6部門を受賞。2002年にはレニー・ゼルウィガーやキャサリン・ゼタ=ジョーンズらの出演で映画化されています。

 舞台は1920年代、禁酒法時代のアメリカ・シカゴ。ナイトクラブのダンサー、ロキシー・ハート(米倉)は、彼女を捨てようとした愛人フレッドを殺してしまい、元ヴォードヴィルのダンサーであるヴェルマ・ケリー(アムラ=フェイ・ライト)らが収監されている刑務所へ。妹と浮気した夫を殺害した罪でとらわれているヴェルマは、悪徳弁護士ビリー・フリン(ピーター・ロッキアー)のマスコミ操作により世間からスター扱いされており、彼女に憧れたロキシーも、刑務所を仕切る女看守の手引きでビリーを雇って一躍時代の寵児に。メディアの関心が新たな殺人者に移りそうになると妊娠を公表するなど、ミエミエのウソで話題を集めるロキシーにヴェルマはいら立ちます。収監仲間の死刑などがありながらもロキシーはスターの座と無罪判決を手にしますが、世間の注目は新しい事件へ。世の中から飽きられてしまったロキシーとヴェルマは、起死回生を狙いともに新たな道へ―。

 原作の戯曲は、それぞれ夫と愛人を殺害した容疑で裁判にかけられたふたりの女性が無罪判決を受けた事件を傍聴していたジャーナリスト、モーリン・ダラス・ワトキンスが書き下ろしています。禁酒法の下、ギャングの暗躍した当時のシカコでは恋人や夫を殺した女性は注目を集める存在=スターで、陪審員が男性のみであることから、魅力的な女性は有罪になりにくかったといわれています。ミュージカル版ではヴォードヴォル風の演出であることや、ロキシーとヴェルマの職業柄もあり、衣裳は体のラインが露わで肌も大きく露出したもの。米倉も、定評ある美脚だけでなく、普段テレビではなかなか見せることのない背中や胸元も惜しげもなくさらしています。やや細すぎる気はするものの、日本人女性としては長身であることから、そのセクシーな着こなしぶりはさすが。

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