堂本剛(ENDRECHERI)の音楽的ルーツを、日本の音楽評論界で最もファンクにうるさい男が徹底解説

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ENDRECHERI『NARALIEN』(ジェイ・ストーム)

 わたしが初めて堂本剛に会ったのは、2011年8月、川崎CLUB CITTA’にて。より詳しく書くと、ブーツィ・コリンズ公演時の楽屋だった。その事実は、堂本剛の音楽性を知らない人に、彼に関する多くのことを教えてくれるのではないか。

 そのとき、彼の横には背が高い女性が……と思ったが、よく見たらKenKenだった。RIZEとDragon Ashを掛け持ちする多忙ベーシストであり、日本版Roberto Agustin Miguel Santiago Samuel Trujillo Veracruzのような存在だ。堂本剛を支えるバンドメンバーだったKenKenは、外側からファンクにアプローチしてきた堂本剛にとって「同志」と呼べる存在なのではないか。……最近はある種の植物のせいで有名になってしまったが。

音楽業界でも意外と知られていない堂本剛(ENDRECHERI)の本格的Pファンク志向

 いつぞや、わたしが堂本剛(ENDRECHERI)のファンク志向/嗜好/思考を語ったら、クリス・ペプラーも驚いていた。つまり、音楽業界でもまだまだ知られていないということだ。

 なので、ここ2作のアルバムから適当に曲を見繕って紹介してみよう。

●アルバム『HYBRID FUNK』(2018年)

「MusiClimber」
 多用されるロックギターや、ファンクらしいタメがあまりないせっかちなドラミングが、とってもファンカデリック!

「YOUR MOTHER SHIP」
 タイトルこそ「マザーシップ」だが、むしろリック・ジェイムズ──1982年の「Dance Wit’ Me」以降の──に通じる、直線的なビートが際立つ。まあ、だんだんPファンクっぽくなっていくのだが。

「SANKAFUNK」
 堂本剛史上でも、たぶん最高にパーラメントな曲。ブーツィっぽく歪むベースも、ピアノとストリングス系シンセサイザーが際立つアレンジも、パーラメントが1975年に出した絶対名盤『Mothership Connection』に収められた何曲か──「P. Funk (Wants to Get Funked Up)」や「Mothership Connection (Star Child)」、そしてもちろん「Give Up the Funk (Tear the Roof off the Sucker)」──を連想させる。
 わたしが気に入ったのは歌詞の少なさ。歌詞カード上は6行だが、実質的にはほぼ3行で、これはむしろパーラメント同作の「Supergroovalisticprosifunkstication」に通じる。なんにしても『Mothership Connection』な曲だということだ。

「セパレイトしたブレイン」
 前奏からトークボックス全開! 絶妙な爽やかさも含めて、「西海岸ヒップホップを経由したザップ/ロジャー」という趣きがある。

「舌 VENOM」
 ファンクの伝統に「変な声」というものがある。「ロボ声」と言い換えてもいいかもしれない。なぜかは知らねど、このジャンルでは加工して人間外のものと化した声が愛されるのだ。
 この曲の主役であるキャラクター「Sankaku」は、まさにその系譜に位置する存在。プリンスの別人格キャラクター「Camille」にも近いが、発想源はやはりパーラメントの曲に登場する悪役、Sir Nose D’Voidoffunkなのだろう。

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