●アルバム『NARALIEN』(2019年)
「FUNK TRON」
ゴーゴーやん! 16ビートを3連に細分化したパーカッションたちがチャカポコチャカポコとビートを埋め尽くすことで知られる、ワシントンDCのご当地ファンクである。80年代半ばに全米ブレイクの兆しを迎えるも不発だったゴーゴー。「もはや黒人街ではない」と言われるワシントンDCで、どのように生き残っているのか……そう想いを馳せながら聴くと、さらに味わい深い。
「4 10 cake」
ホットケーキに捧げる歌らしいのだが、この既聴感はなんだろう……と、考えていたが、わかった! 90年代にPヴァインが出していた「Pファンク未発表曲集」っぽいのだ! 歌詞の少なさも相まって、堂本剛のファンクの多くにその傾向がある。この曲に限らず。
「Pファンク未発表曲集」の音源はもともと80年前後に録音されたものが多かったが、この曲にもその時代の残り香が。普通に発表された曲で近いものを探すなら、1979年のパーラメントのインスト曲「The Big Bang Theory」だろうか。
「I’m gonna show U how 2 FUNK」
滑り出しは80年代前半、まるでジョージ・クリントンのソロ。ドラムスの音などはもう少し後、80年代半ばに近いか。
「愛 の 祝 詞」
前奏からは予想もつかない、サビのクインシー・ジョーンズ風味に驚く! というか、これ「愛のコリーダ」やろ! わははは。
「音楽を終わらせよう HEIAN ver.」
前奏はネオ・ソウル流儀! ディアンジェロの「Lady」みたいなフレーズが印象的で「ヨーマィレィディ〜」と歌い出しそうになる。実は、先に挙げた「FUNK TRON」も時おりそうなるのだが。
日本では誤解されがちなので、ここでひとこと書いておく。
どんなクリエイターも、先達から影響を受け、それを咀嚼して自分の作品を組み立てていくもの。つまり、全ての創作は二次創作なのだ! 特にファンクやソウル、R&Bやヒップホップはその傾向が顕著なジャンルであり、先駆者に倣い学び、芸を継承し共有していくのは常識にして礼儀でもある。
先輩たちからの影響があらわな作品を、何でもかんでも「パクリ」と呼ぶな、ということ。