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活路を見出した信金・信組と消えゆく地銀 メガバンクさえも危うい銀行の惨状、なぜここまで

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「Getty Images」より

 大手銀行の経営状況にネガティブな報道が出るようになって久しいが、各都道府県に本店を置き、地元を中心に営業する地方銀行(以下、地銀)は、とりわけ辛い状況に立たされている。

 全国に106行(2019年5月現在)ある地銀だが、現在54行が本業で赤字に転落するなど、業界の斜陽化を認めざるを得ない深刻な事態に陥っている。そこで、中央省庁や政府系金融機関へのコンサルティング業務のかたわら経済評論家として多くの著作を執筆している加谷珪一氏に、ジリ貧になってしまった銀行(金融)業界の実態を、メガバンク、地銀、信金・信組の三つの視点から解説してもらった。

加谷 珪一(かや・けいいち)/経済評論家
大学卒業後、日経BP社記者を経て、野村グループの投資ファンド運用会社で、企業評価や投資業務を担当。2000年に独立し、中央省庁や政府系金融機関に対するコンサルティング業務に従事している。著書に『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『億万長者への道は経済学に書いてある』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。
オフィシャルサイト:加谷珪一の分かりやすい話

銀行業界のトップに君臨するメガバンクの衰退

 三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行に代表されるような巨大な資産と収益規模を持つ通称「メガバンク」は、経済成熟期にある現在の日本で、どのような問題を抱えているのか。

「銀行には、預金の管理など、主に一般人顧客から利益を得ている“商業銀行”と、大きな企業への出資・融資を主な業務としている“投資銀行”があります。諸外国と異なり、日本の銀行は戦後から長きに渡って、今でいうメガバンクがこの業務のどちらもやっていたのです。なぜかというと、当時の大蔵省が金融機関全体の存続と利益を守る政策、いわゆる“護送船団方式”を行なっていた影響が大きいからです。

 これはつまるところ、官庁による業界コントロールの図式です。高度経済成長期には国内の資金需要も高く、問題はありませんでしたが、経済が成熟期に入ると顧客のニーズ、個人の預金構造も多様化。従来の硬直的なシステムでは手詰まりになっている――というのが、現在のメガバンクの問題点と言えますね」(加谷氏)

 また、メガバンクは慣れない変化の波にさらされているという。

「こうした変化に、銀行業界の対応は遅れがちです。それはずばり、銀行が官庁と蜜月の関係を築いていたため、自前で何か新しいアイデアを生み出してこなかったためでしょう。新たなアイデアが求められる今、その対応が後手にまわり、右往左往しているのです。

 ご存じの通り、メガバンクは経営統合という大きな変化を起こしました。利益も減少している時代において、彼らは5行、6行と乱立することをやめて、現在の三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、三菱UFJ)、三井住友フィナンシャル・グループ(以下、SMBC)、みずほフィナンシャル・グループ(以下、みずほ)という、大手3行に集約したのです。しかし、その縮小すら根本的な経営改善にはならず、依然厳しいのが現状です」(加谷氏)

消えゆく地銀と、活路を見出した信金・信組

 このように大手銀行が苦境に立たされるなか、より規模の小さな地銀がさらなる苦境にあるというが、そもそも地銀とはどういう存在なのか。

「地銀にも大蔵省によるコントロールの影響が関連してくるのです。メガバンクは大企業が多い都心部を中心に発達していきましたが、その影響で手薄になった地方を補う形で地銀が発達していきました。地銀はエリアごとに中小企業や個人との取引を主としており、これはメガバンクを補完する存在として、政府の指示もあって生まれたのです」(加谷氏)

 では、地銀が苦境に陥っている要因は?

「メガバンク同様、地銀も経済の成熟期による利益減少に苦しめられているのです。実際、地方で元気な中小企業というのは激減していますし、なにより若い世代が都心部へ流出してしまうことによる人口減少で、一般顧客からの預金集めにも苦労しているのです。専門家の間では今後10年、20年の間に地銀の数は現在の半分になるという見立ても出ており、IMF(国際通貨基金)のレポートでもこうした地銀の苦境は報じられています。

 そんななか、金融庁は地銀苦境の流れを危惧し、平成時代に各地の地銀に合併を進めるように指導していました。合併は活動地域を広げられますし、同じ地域で被っている店舗を統合して減らせるといったメリットもあります。しかし、これは首都圏の力のある地方銀行からすれば、弱い地方銀行と無理やり籍を入れさせられるようなもので、一筋縄ではいかず、なかなか統合が進んでいないのです」(加谷氏)

 他方で、金融業界のなかで活路を見出したとされる信用金庫・信用組合(以下、信金・信組)についても解説してもらおう。

「信金・信組とは、ある地域のなかでも、少数経営の企業など、地銀よりもっとピンポイントを対象とした金融機関のことを指します。信金・信組は本当に地域密着の金融機関なので、地域の顔なじみの営業マンが毎日自転車で地域の企業や工務店に足しげく通い、親交を深め、細かな資金ニーズを探し出す――といった対応が可能なのです。

 信金・信組はこうした地道な営業活動が功を奏して、金融業界においても経営状況は良好です。ですからこうした経営システムを、困窮した地銀にも応用できないかという声もありますが、これはあくまでも小さなエリアだからこそできること。地銀レベルの規模だと営業回りする人員も足りないですし、現実的に応用は難しいでしょう。正直なところ、地銀の困窮には明確な活路を見出せていないのです」(加谷氏)

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