
「Getty Images」より
視覚障害者が助けを求めたい時に、自身の持っている白杖(はくじょう)を頭上50センチ程度に掲げる「白杖SOSシグナル」を知っているだろうか。最近、「白杖SOSシグナル」を発していた視覚障害者を、駅までエスコートした人の話がツイッターで話題になっていた。
この「SOSシグナル」は、内閣府の各団体・所管する障害者に関するマークの一例を紹介するページに掲載されている。この「SOSシグナル」を発している人を見かけたら、進んで声をかけて支援しようというもので、シンボルマークにはSOSの文字と人が杖を頭上に掲げる様子が描かれている。
この「SOSシグナル」は一部の団体により発信されているが、一般的な認知度は高くない。また、白杖を使う視覚障害者の当事者でも知らない人が多く、このシグナルについて賛否両論がある。
そもそも白杖自体がサイン
白杖を使う視覚障害者が憂慮しているのは、白杖を頭上に上げていない人は困っていないという認識を持たれることだという。また、本当に危険な時は、本人がわかっていないことも多く、そのような際には杖を上げられない。
杖は視覚障害者の目の代わりになるものであり、杖先を地面に接しながら状況を判断していて、杖先を地面から離すという行為自体にも不安を伴う。当事者からは、この白杖を頭上に上げるサインをするのは恥ずかしいし、それなら声を出して助けを求めたほうが良いという意見も多い。
そもそも、白杖自体がサインであるので、白杖を頭上に上げていなくても、「何かお手伝いしましょうか?」と声をかけてもらえたら、ありがたいそうだ。困っているかどうかわからない時は、まずは声をかけてもらえれば、助けがほしいかどうかを返答できるという。視覚障害者は、困っていても、自分の周りに人がいるかどうかがわからないため、自分から声をかけにくいというのも心に留めておきたい。