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あおり運転加害者に多くの国民が執着する異様な雰囲気の正体

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「Getty Images」より

 このところ日本社会が異様な雰囲気に包まれている。

 茨城県の高速道路で発生したあおり運転事件に関連して、容疑者と間違われた女性がネット上で実名を晒され激しいバッシングを受けたほか、単なる粗暴犯に過ぎない主犯の宮崎文夫容疑者に対しても、なぜここまで執着するのかというくらい「厳罰に処せ!」の大合唱となっている。同じタイミングで、中年男性が娘と新幹線に乗っていたところ、誘拐犯だとして(おそらく嫌がらせで)通報されるという出来事も起こっている。

粗暴犯1人に対して1億人が異様な執着

 茨城県の高速道路で、24歳の男性に対してあおり運転を行ったあげく、暴行に及んだ人物が逮捕された。事件当時のドライブレコーダーには、加害者のクルマに同乗し、暴行する様子を撮影していた女性も映っており、最終的にはこの女性も犯人隠匿の容疑で逮捕されている。

 だが、ネット上では逮捕された女性とは別の女性が、容疑者であるとレッテルを貼られ、実名を晒されるなど大きな被害を受けた。

 いつものことではあるが、女性を容疑者であると特定した(つもりになっている)人たちの根拠は極めて脆弱で、主犯の宮崎容疑者がその女性のインスタグラムのアカウントをフォローしていたこと(被害女性は宮崎容疑者とは面識がない)や、帽子やサングラスが似ていたという程度のものである。

 被害を受けた女性のSNSには無数の罵詈雑言が並んだのはもちろんのこと、携帯電話にもおびただしい数の着信があったという。この程度の情報で、何の罪もない一般市民が犯罪者に仕立て上げられ、世間から総攻撃を受けるなど、どう考えてもまともな社会ではない。

 主犯である宮崎容疑者に対する世間の言動もやはり異様だ。

 確かに宮崎容疑者は、どうしようもない人間であり、擁護する余地が1ミリもないというのはその通りだろう。だが、単なる粗暴犯に対して1億人が束になって「厳罰に処せ!」と叫んでいる様子に病的なものを感じた人も多いのではないだろうか。

 そもそも宮崎容疑者のような粗暴な犯罪者には、前後を考えて行動するような良識はない。現時点では単なる暴行罪なので、厳罰にすることは難しいだろうが、仮に厳罰にしたところで、犯罪の抑止にはつながらないケースがほとんどだ。

 刑が重くなるので実行をためらうといった合理的な思考回路を持っているのなら、最初からこうした見境のない行動は起こさないだろう。厳罰にしたところで、第2、第3の宮崎容疑者が出てくることは容易に想像できる。

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