
病いと子供と私
夫が中国に単身赴任中、東京で小学1年生と3歳の子どもを抱えて働く山本友来さん(37)。子どものころから医者にかかったことがないほど健康だったという彼女だが、日ごろの無理がたたったのか、腰痛からとつぜんの高熱に倒れてしまう。
あわてて病院にかかると腎盂腎炎を発病していた(前編)。ワンオペ育児中の病気を支えてくれたのは、長男が0歳児のときから支え合ってきたママ友たちだった。
ワンオペ育児なのに39度の熱と吐き気が4日以上…SOSを出した相手は
育児中、特に幼い子供を育てていると、小児科にはしょっちゅうお世話になっても、親である自分の体調管理まで気が回らない、という人は多いのではないだろうか。…
綱渡りでなんとか子育てを乗り越えて
「腎盂腎炎になって1週間の抗生剤の点滴治療中も、なかなか高熱がさがりませんでした。吐き気もあって、食欲はゼロ。固形物はほとんど口にできず、家においてあるポカリスエットを薄めたものや、飲むゼリーなどを飲んでなんとかしのいでいました」
その間、子どもたちは長男の保育園時代のママ友が交互に面倒を見てくれた。学童や娘の保育園のお迎えから、食事、入浴、時にはお泊まりまで引き受けてくれたママ友たちの連係プレーのおかげで、重症期間は何も考えずひたすら寝て過ごすことができたという。
「夫は海外から心配してメッセージをくれたり気遣ってくれましたが、離れているからどうしようもできないですよね。近くに親がいるわけでもなく、ママ友がいなければどうなっていたんだろう、と思います」
数日後には、たまたま仕事で北海道から横浜を訪れていた妹が、足を延ばし泊まりに来てくれ、騒ぎを聞きつけた夫の母も福岡から上京してくれた。おかげで、病状が緩和し始めた1週間後からは、子どもたちも自宅で過ごせるようになった。
「妹が、ヨーグルトや茶わん蒸しなど、口にしやすいものをたくさん買ってきてくれたのがうれしくて。スーパーの茶わん蒸しが、こんなにおいしいとは思いませんでした(笑)。義母も遠くからきてくれて、家のことは全部お任せで寝ていられたおかげで、発病してから2週間くらいでずいぶんよくなりました。本当に綱渡りでしたが、感謝しかありませんね」
周囲の人たちに助けられた山本さんだが、倒れていたときにも、他の人にはどうしても頼れないことがあったという。