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「焼肉ライク」快進撃、“お一人さま焼肉”ブームが止まらない! 拡大する個食需要に死角はあるか?

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「焼肉ライク」の店舗(識者提供)

 近年加速する“お一人さまブーム”のなかでも人気の一人外食。人気ドラマ『孤独のグルメ』(テレビ東京系)のように、一人で自由な食事タイムを満喫したいという人はかなり増えている。そんなブームの急先鋒として話題なのが、一人焼肉に特化した外食チェーン「焼肉ライク」だ。

 筆者も、初「焼肉ライク」にチャレンジしてみたが、驚きの連続だった。

 まず、入店すると店員に促され、専用の無煙ロースター付きの一人席に案内される。注文はすべての席に据え付けられたタッチパネルで行なうとのことで、慣れない手順に緊張しつつ、店の主力商品であるおすすめセット(定食)から「みすじ&ハラミセット(200g)」(1280円、税抜)を注文。ご飯のおかわり無料が11時から17時までという制約はあるが、ランチとディナーの区別がないのも焼肉ライクの特徴だ。席の引き出しにある割り箸やおしぼりを取り出し、“着肉”を待った。

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一人用の専用ロースターと「牛タン&匠カルビ&ハラミセット」(200g 1480円)と、追加の「牛ホルモン」(100g 380円)(識者提供)

 すると、3分ほどであっという間の“着肉”。15枚ほどの厚めの肉に、ごはん、スープ、キムチがセットとなっていた。点火はテーブル下のボタンを操作。店内混雑のためか店員からのレクチャーが放置気味なのが気になったが、タッチパネルの指示を頼りになんとか自分で着火した。

 無煙ロースターのため、肉を焼くときの煙はほぼ出ず、服へのニオイもほぼ気にならなかった。また、肉の味も安っぽさはなくジューシーだ。3種類もあるつけダレがどれも甘く、タレ系が苦手な人にも少し気になる部分もあったが、あっという間に食べきってしまう美味さだった。

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ひとりでじっくり肉と向き合える(識者提供)

 家族や友達と行くものというイメージの強かった焼肉を、“ファストフード”として提供した「焼肉ライク」。昨夏、新橋に1号店をオープンしたばかりにも関わらず、現在では都心部を中心に12店舗まで拡大している。なぜ一人焼肉が好調なのか、そこに死角はないのか、フードアナリスト協会所属のフードアナリスト・重盛高雄氏に話を聞いた。

重盛 高雄(しげもり・たかお)/フードアナリスト
ファストフード、外食産業に精通したフードアナリスト。ニュース番組、雑誌などに多数出演。2017年には「The Economist」誌(英国)から、日本のファストフード業界についてのインタビューを受けるなど、活躍の場を世界に広げている。
フードアナリスト・プロモーション株式会社

焼肉の個食需要は、今まで見過ごされていた新たな金脈

 実際に「焼肉ライク」を利用してみてまず気になったのが、絞り込まれたメニュー。誤解を恐れずに言うならば、メニュー数が非常に少ないのだ。

「一番大きな理由として考えられるのは、仕入れメリットを極力出すということです。少量多品種という形で商品展開をすると、どうしても在庫ロスが出てきます。それを避けるために売れ筋の商品に絞ったのでしょう。定食セットをメインに据え、味も基本的にはタレのみにしたのも、製造の段階で在庫を増やさないようにするためで、ブランドコンセプトにできるかぎり沿おうとする焼肉ライクのこだわりの一環でしょうね」(重盛氏)

 客にタッチパネル操作をさせるセルフシステムは、重盛氏いわく「人材の効率化」を目的としたものだそうだが、タッチパネルや、店の特徴でもある一人用の無煙ロースター導入は、初期投資(イニシャルコスト)に費用がかかりそうでもある。ここが経営面での死角になることはないのだろうか。

「焼肉店の場合、食材の調理は基本的に客自身が行なうので、厨房などの調理スペースを通常より省略することができます。それによって浮いた資金を、ハイクオリティーなタッチパネルやセルフの給水機、高価な無煙ロースターといった初期投資費に回せるのでしょう。それに、多少イニシャルコストが割高となっても、結果としてスタッフの労力を最小限にし、人件費をとことん抑えることができるため、ランニングコストは割安となるはず。キチッとした勝算があっての戦略と言えますね」(重盛氏)

 なるほど、システム投資の面では隙がなさそうだが、そもそも“一人焼肉”というビジネスモデルで、今のような需要が続くのかも疑問だ。ブームが一過性で終わってしまう懸念もあるだろう。

「これは私の予想ですが、“一人焼肉”は定着していくと考えています。意外と焼肉は家庭でやる方は少ないもので、それはつまり“焼肉=外食で食べる料理”ということ。事実、日本フードサービス協会調べによる業態別推移をみると、外食のなかで焼肉は、今年7月に長い梅雨があった影響で32カ月ぶりに前年比割れしてしまったものの、それまではずっと右肩上がりでした。

 そんな人気のジャンルには、一人でパパッと食べに行きたいという、いわゆる個食需要もかなり多いと思われますので、そこをバッチリ掴んだビジネスモデルだと言えますね」(重盛氏)

 「焼肉ライク」は、焼肉の個食需要という、今まで見過ごされていた金脈を見事に掘り起こしたということか。

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