社会

葛飾中学生の暴行動画だけじゃない、新潟や沖縄でも「いじめ動画」の撮影と拡散

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「Getty Images」より

 東京・葛飾区の河川敷で、女子中学生が飛び蹴りなどの暴行を受けているショッキングな動画がネット上で拡散中だ。

 動画がTwitterにアップされたのは今月5日。加害者、被害者どちらかの知人と思われる女性によるもので「葛飾の子なんですけどみんなの前で蹴られ殴られ挙げ句の果てには性行為まで目の前でさせたらしいです。とても胸糞悪いお話ですが警察も動いてくれないっぽいので関係者希望で拡散させていただきます」といった文章が添えられていた。

 動画の内容は、横たわる女子生徒に男子生徒が馬乗りになりながら頬に平手打ちをする場面や、首を絞める、飛び蹴りをするといった暴行のほか「やり返していいって」「これじゃリンチになっちゃう」「なんかサルがしゃべってる。おもしろーい」といった会話や笑い声なども録音されていた。

 動画は、女子生徒が飛び蹴りをされたところで途切れている。すでに女子生徒は暴行を受けたとして警視庁に相談しており、葛飾署や少年事件課が暴行事件として調べているという。

葛飾で女子中学生に暴行する“いじめ動画“、「犯人特定」と個人情報まで瞬時に拡散

 葛飾区の河川敷で、女子中学生が男子中学生に飛び蹴りなどの暴行を受ける動画がネット上で拡散され、加害者を特定するトレンドブログも大量生産されている。…

ウェジー 2019.09.06

 この「いじめ動画」についてネットでは、その内容のむごさから「いじめでは済まされません。暴力行為です」「子供のレベルではありません。大人と同じ償いをさせるべき」「加害者傍観者全員逮捕されてしまえばいいのに」といった声が相次ぐ。例によって犯人特定の動きもあり、ネット上で加害者だと疑われるインスタアカウントは削除され、問題の動画もすでに消えている。

 「いじめ動画」という名で拡散されたこの動画は、ネットのコメントにもあるように、いじめを超え、もはや暴行である。警視庁によると女子生徒に大きな怪我はないというが、それは不幸中の幸いというべきであろう。いかなる理由があれ、多勢に無勢の女子生徒に対し男子生徒が一方的に暴力を振るい、それを笑いながら動画に収めるなど、女子生徒の人格を無視した卑劣極まりない行為である。

 未成年と思しき若者たちによる暴行行為の動画が拡散されたことは、今回が初めてではない。未成年にもスマートフォンが普及したことで、定期的にネットを騒がせている。

 昨年1月には、新潟の県立高校で撮影されたとおぼしき、いじめ動画がアップされ、非難を浴びた。これは女子生徒が教室で、同級生の男子生徒の顔にナプキンを投げたり貼り付けたりして、嫌がる男子生徒の様子が映っているものだ。いじめの様子を別の女子生徒がスマホで撮影し、インスタにアップした動画をさらに別の高校生らがツイッターに転載し、拡散した。

 これを受け同県の教育委員会と同行校長が記者会見し、いじめと認定。「心からおわびする」と謝罪をした。だが、最近はこうした事案が起こると即座にトレンドブログで記事が量産され、犯人と名指しされた人物の名前やSNSのアカウントが晒されるのが常である。当時、いじめをしていた女子生徒も個人情報を特定され、大きな非難を浴びたことで、謝罪会見当時は恐怖を感じ授業を受けていなかったという。

 新潟では今年2月にもいじめ動画がアップされた。こちらは男子生徒らが集団で一人の男子生徒を蹴る、棒で殴るなどの暴行をふるう様子が収められた動画だった。動画内で呼び合う名前などから名前やSNSアカウントの情報がまたもや出回っていたが、同時に学校も調査を行う事態に発展。その後、加害者と思しきインスタアカウントのストーリーで「退学になった」ことと謝罪の文言が書き込まれていたが、このアカウントが関係者のものかどうかは判然としない。

 2017年1月には沖縄でも同様に、いじめ動画アップ騒動があった。これは沖縄本島中部の中学校に通う男子生徒が、同級生の男子生徒から暴行を受けている様子が撮影され、SNSにアップされていた。加害者の男子生徒が一方的に殴ったり蹴ったりする様子が映る動画だが、中学校がある自治体の教育委員会は事実関係を調べた上で「いじめとは見ていない」と判断。

 だが暴行を受けた側の男子生徒は警察に被害届を提出し、調べが行われていた様子だ。県教委の判断に「それはもう学校ぐるみでいじめているようなものだ」という声もあがっていたが、一方で、被害者が加害者にちょっかいをかけたために反撃として蹴られた、という情報も出回るなど、真偽不明の情報が複数拡散された。

 ほぼ暴行事件と同レベルの「いじめ動画」のSNS上へのアップは、これからも起こりうることだろう。傍観者が義憤にかられ告発的にアップ、加害者が調子に乗ってアップ、など、拡散に至る経緯は様々だが、学校内でのいじめについて証拠を残すことが容易になっていることは事実だ。被害者はこの動画を元に警察に相談をすることもできる。

 一つ懸念があるとすれば、加害者とされる人物を安易に特定し攻撃する“私刑”の加速、そして事実誤認により無関係の生徒に“いじめ疑惑”がかけられたまま拡散される可能性もあるということだ。常磐道あおり運転の女性と間違われた女性が、個人情報を拡散された上に無数誹謗中傷を浴びるという被害も発生した。くれぐれも個人情報の扱いには慎重になりたい。

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