
「Getty Images」より
今月4日、宝塚歌劇団の男役スターのプライベート写真のネット流出が文春で報じられ、話題となった。来月、星組の新しい男役トップスターに就任予定の礼真琴(れい・まこと)が、ギャル風メイクにビキニ姿でビーチで遊んでいる様子や男友達と飲酒している写真で、それが原因でファン離れが起きているというものだ。
しかし、成人女性がごく普通の休日を楽しんでいるだけにも見えるために、宝塚ファン以外からは「それの何が悪いの?」という疑問の声もあがっている。ビキニギャル批判の理由を解説するとともに、宝塚の、女性だけで構成される集団でありながら寝深い「男尊女卑」について触れてみたい。
「清く正しく美しく」
ビキニギャル姿が報じられた礼真琴は、2009年に95期として宝塚歌劇団に入団した。首席入団であり、父親はサッカー元日本代表の浅野哲也氏であることから早くから注目を浴びる存在だった。
男役としてはやや小柄で愛らしすぎる容姿であるが、低音の発声の完成度が高く、特に歌にうまさに定評がある。
ダンスと芝居も技術も高く、2013年には入団5年目の若さで、将来のトップスターへの登竜門である入団7年以内の若手だけで演じられる「新人公演」で「ロミオとジュリエット」に初主演。その後も劇団の抜擢やファンの期待に着実に応えてきた。
流出した写真は、新人公演に初主演した頃のもの。“仕事”で成果を出しており、本来ならプライベートの服装などにまで言及されるいわれはないはずだ。
ではなぜ、批判されているのか。それは、宝塚歌劇団に所属するタカラジェンヌたちと、ファンとの距離の近さに一因があるだろう。
宝塚のモットーといえば「清く正しく美しく」。タカラジェンヌとしての品のある行動をせよという教えだが、“夢の世界のフェアリー”として「ファンの持つイメージを損なわないことが求められる」という方が具体的かもしれない。
男役であるならば普段からスカートは履かず、フェミニンな服や女性らしい体形があらわになる露出度の高いものもアウトだ。背は高い方が望ましいのでヒールのある靴はOKだが、胸の大きな男役はそれが敬遠されることも多いため、矯正下着の着用や夏でもスカーフを巻くなどの工夫は義務。もちろん、ビキニ姿は論外だ。
長髪もだめで、唯一の例外は、OGの真矢ミキ。花組トップスターとして隆盛を極めていたからこそ認められたものだったが、基本的には髪が襟足にかかる長さ以上は劇団から認められない。