宝塚・男役スターのビキニ写真流出騒動に見る、宝塚に根付く男尊女卑的価値観

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 宝塚歌劇団は未婚女性のみで構成されているが、“男尊女卑”傾向が非常に強い。ファンからの人気は圧倒的に男役の方が高いからであることがその理由の大半ではあるが、それ以上に「すみれコード」は、頼れる男性に寄り添いかしづく年少の女性、という構造こそを良としている。

 宝塚には「男役10年」という言葉がある。男役としての技術が習熟するのには長期間必要で、10年たってやっと一人前という意味だ。

 対し娘役は、入団から10年経てば、年増扱いをされてしまう。2017年に花組の娘役トップスターになった仙名彩世(せんな・あやせ)はトップお披露目時に入団10年目という異例の遅さの就任であったが、それまでに培った技術や努力よりも、年齢のみでネガティブな見方をされることも多かった。

ファン目線の「幸せな卒業」

 容姿の美しさも宝塚の大命題である以上、年齢を重ねることによる外見の変化をマイナス視されることは、致し方ない面は大きい。娘役の場合は特に、俳優としての技術よりも初々しさや愛らしさを重視される傾向が顕著だ。

 しかし、ただかわいいだけの未熟な娘役の抜擢は、長期的な視点に立てば、歌劇団というブランド価値を損なうことにつながる可能性がある。

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宝塚・男役スターのビキニ写真流出騒動に見る、宝塚に根付く男尊女卑的価値観の画像1
宝塚・男役スターのビキニ写真流出騒動に見る、宝塚に根付く男尊女卑的価値観の画像2 ウェジー 2018.12.09

 宝塚では時折、「性転換」と呼ばれる男役から娘役の転向が発表される。先月、君島十和子の娘である月組の男役、蘭世惠翔(らんぜ・けいと)の娘役への転向が発表された。

 身長のかねあいや本人の個性により、娘役トップスターへの就任含みでの発展的な転向も過去には例があるが、“性別”が逆の娘役から男役への転向は、一度も存在しない。これは、娘役の技術の軽視といえはしないだろうか。

 娘役はトップスターであっても、インタビューでもまず男役トップへの感謝と愛を述べる。相手の荷物を持ったり手料理を作ってきたり、男役の三歩後ろを下がって歩くことが、相手のファンからも認められるための必須行動。そして退団時には、自身の人生設計とは別に、トップコンビがそろって卒業することが喜ばれる。

 テレビで活躍するあるOGは自身の不祥事で卒業することになったが、トップコンビのメンツだからと、実際は不仲だった相手役に同時卒業を強いたことがあった。それでもファンの目からは、それは「幸せな卒業」に他ならない。

 処女性を守り、“女性”が“男性”に殉じることが「清く正しい」とされるのは、令和の時代には明らかにそぐわない古臭い思想だ。それでも、ときに理不尽な不文律を守り続けているからこそ宝塚は、その独特の魅力を保ち続けている。SNS全盛の昨今だが、乙女の花園のベールを無理やりめくるようなことは、野暮というもの。宝塚の広報は「舞台上のパフォーマンスで通して信頼を回復する」としている。その言葉を信じて、トップスターに就任した礼の、男役としての姿を楽しみに待ちたい。

(鈴木千春)

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