柴山大臣は、早稲田大学教授の教育学者・近藤孝弘氏が執筆した「ドイツの政治教育と中立性」というタイトルの記事を紹介し、<こうした取組みを成熟させることこそが肝要。先に述べたようなやり取りとは雲泥の差>と投稿した。同記事では、ドイツで実施されている“中立性を重視した政治教育”が、どのような背景や考え方で実施しているのかが丁寧に解説されている。そこにはこうある。
「ドイツの政治教育が目指しているのは、何よりも一人ひとりが自分の意見を持つことです。意見を持たない人は、政治に主体的に参加することができません」
「社会のなかにある意見の多様性を知るということも大切です。自分の意見を持つためには、いろいろな考え方を吟味する必要があります」
「学校は様々な意見や考え方が出会う場所として考えられる必要があります。中立的であるとは、みんなが自由に意見を述べることが期待されているということであって、政治的な意見を持ち込んではいけないというのでは本末転倒です」
柴山大臣が、教育の場での自由闊達な意見交換を理想とするのであれば、政権の政策に批判的な意見もまた多様性のひとつであり「適切か否か」議論するまでもなく、「適切」といえるだろう。むしろ政権批判に過敏反応し、論点をずらして意見を封じ込めようとした柴山大臣の対応こそ、「不適切」だ。
特に大学入試への民間英語試験導入の問題点は多々指摘されている。柴山大臣はこの政策への批判をしかと受け止め、課題の解決に尽力してほしい。
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