子供の有無に関わらず、全従業員が柔軟に働けるようにするのが理想
すでにテレワークや時短勤務、フレックスタイム制など家庭と仕事を両立するための柔軟な働き方を促す制度は多くある。ただ、会社としてこれらの制度を導入したとしても、適切に運用できている現場はまだ多いとは言えない。上手な運用のポイントは、事情のある社員だけでなく誰もが制度を活用して良いという“空気”を生み出すことだ。
小崎氏「たとえそのような制度を導入していても、現場では『時短勤務をしている人の業務を他の社員がカバーしなければいけない』という不満が噴出しやすいものです。テレワークや時短勤務などを子供の有無に関係なく全従業員が利用できるようにすること、それによって不公平感を取り除くことが理想的です。そうすることで、子持ちの従業員も罪悪感を抱く必要はなくなります。
また、タスクの境界線が不明瞭な職場では、『○○さんができなかった業務を△△さんにやってもらおう』という光景は珍しくありませんが、こういった多能工的な働き方では、誰かが休むと他の社員にしわ寄せがいってしまいます。多能工的な働き方のメリットも否定はしませんが、『みんなで助け合って業務に取り組もう』ではなく、もっと各従業員の役割を明確にし、混乱を避ける必要があるのではないでしょうか」
各々の役割が明確化されれば、「ダラダラ付き合い残業」や「しわ寄せ残業」は減る。育児や介護などの事情だけを“優遇”するのではなく、全従業員の働きやすさを意識しようということだ。
そうした采配も含め、上司(管理職)の果たすべき役割は大きい。まずは上司という立場の人間が積極的に制度を利用し、部下も気兼ねなく利用できるよう促すことが重要になっていく。
小崎氏「上司が部下のロールモデルになるということです。すでに子供は手のかからない年齢なら、副業などにチャレンジしてみるのもいいと思います。管理職は責任ある立場ですが、だからこそ会社という場だけに捉われず、複数の居場所を持つことをおすすめしたいのです。『自分は会社の看板がなくても通用する人材なのか』ということを考えてみる良い機会にもなります」
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