
小泉進次郎オフィシャルブログより
9月11日午後、第4次安倍再改造内閣が発足。環境相で初入閣した自民党の小泉進次郎氏は、報道陣の囲み取材で育児休業の取得について聞かれ、「(育休取得を)検討すると言っただけで盛り上がるなら、せっかくの機会ですから、前向きに。この固い社会が変わるよう、そんな日本の環境を作っていくことも、環境大臣の環境ではないけれど、1つの力になれればと思います」と育休取得に前向きな意向を示した。
小泉進次郎氏は先月、滝川クリステルさんとの結婚を発表。年明けに第一子の誕生を予定している。
日本では男性の育休取得率が著しく低い。これは少子高齢化の解消においても、女性の社会進出という課題においても、改善すべき問題だ。知名度も人気も高い小泉氏が育休を取得し、また国会議員として働きながら育児する姿を見せることは、確かに日本の社会に少なくない影響を与える“PR”になるだろう。
だが反対の声もある。国民民主党の泉健太政調会長は9日、国民民主党の泉健太政調会長は、会社員と違い国会議員は育休を何カ月取得しても賃金を“満額”得られることに触れ、「私は現在、(小泉議員の育休取得に)否定的だ。彼が取ることで呼び水になるという話もあるがまずは国民が先だ」、「自民、経団連に対し、『全労働者への育児休業給付金の原則100%給付を実現しないと自分は育休を取らない』くらいのことを言ってもらいたい」と語った。
たしかに現状、雇用保険がカバーする育児休業給付金は、育休に入る前の月収の50~70%ほどとなっている。これがネックとなり、育休取得に二の足を踏む男性は少なくないだろう。
その結果、産む性である母側だけが育児に専念し、父側は仕事に専念……という性別役割分業から抜け出しにくくなってしまう。
小泉議員が育休取得をPRに利用するのなら、雇用保険による育児休業給付金の割合を上昇させるよう働きかけるべき、というのはもっともではある。
この泉政調会長の発言にはネット上で賛否両論が寄せられたが、「議員が育休取りにくかったら、サラリーマンはますます取りにくくなってしまう」、「別に彼が育休とったところで国民の育休が後回しにはならんでしょう」と小泉議員の育休取得を後押しする意見が散見された。
育休が取得できないのは「空気」の問題?
エン・ジャパン株式会社が今月発表した調査結果によると、男性の育休義務化に「賛成」(53%)と回答した人は半数以上。
「もしこれから子供が生まれるとしたら、育休を取得したいと思うか?」と男性を対象に聞いたところ、「積極的に取得したい」(41%)、「できれば取得したい」(45%)と8割以上が「取得したい」と考えていることがわかった。
また、「男性の育休取得率が低い理由は何だと思うか?」という設問では、「社内に育休自体を取りやすい雰囲気がない」(72%)が最も多く、育休制度はあるが取得することに難しさを感じている現状があるようだ。
前例やロールモデルが少なく、男性の育休取得が難しい「空気」は今なお蔓延中。小泉氏が積極的に取得することで、「世間の育休に対する意識を変えてほしい」と考えている人は多いかもしれない。
非公開: NHK青山祐子アナの6年産休・育休は「迷惑」「民間ならありえない」? 育児休業についての誤解
タレントのフィフィ(41)が12月27日、自身のツイッターで、NKHの青山祐子アナウンサー(45)が約6年間産前産後休業と育児休業を取得してい…
まずは経済状況の改善を優先してほしい
9月11日に放送された『モーニングCROSS』(TOKYO MX)では、泉政調会長の発言について議論された。公認会計士の森井じゅん氏は、「お金がないので……」という不安から育休を取得していない人が多くいると見解を示し、「まずはデフレを脱却して、みんなが安心して子育てができる経済環境にすることが、政治家の役割だと思います」と小泉氏の育休取得に反対する。
小泉氏が育休取得をしたところで世の中の男性のロールモデルにはならず、男性の育休取得の機運は高まらないと続け、むしろ「小泉議員は自分とは違う特別な人だから育休が取れるんだ……」と、現実とロールモデルにギャップが生じてしまい、会社員として働いている人の反感を買ってしまい分断が生じかねないと話した。
それも一理あるだろう。小泉氏は非常に限られたエリート層の人間であることは確かだ。ただ、経営層が「男性は育児休暇を取るべきだ」と認識を改めることにつながれば、労働者層にも影響していく可能性があるのではないか。
司会の堀潤は「賛成です。“育休期間中が全面的な休暇”という考え方を止めて、『1~2時間は執務室で仕事をして、あとはテレワークで働く』とか、育休の概念を変えることを小泉議員にはやってほしい」と、育休中も柔軟な働き方が可能であることを示してほしいと述べた。
育休取得が推進されるようになって久しいが、なかなか取得率は増加せず、柔軟性も弱いままだ。小泉氏が育休を取得するか否かは本人や家族の意思が尊重されるべきではあるが、政治家としての小泉氏の評価はともかくとして、前述のようにその影響力は非常に大きい。
小泉氏が積極的な育児PRに乗り出せば、多くの人が自身の育児と仕事のかねあいを考え、また育休制度の在り方について議論・検討を促進するきっかけになるかもしれない。
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