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岡田将生の舞台にかける意気込みと、木村多江の「少女らしさ」際立つ『ブラッケン・ムーア』

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 テレンスの口を借りて明かされるエドワードの今わの際は、壮絶なものでした。しかしエドワードは、死は終わりではなく始まりだと語り、自分の魂は、屋敷の窓の外にいる動物や植物でもあり、そして父のハロルドが新技術の導入でクビを切ろうとしている労働者でもある、と語ります。

 しかし終盤、ハロルドにテレンスが明かした真実は、エドガーの幽霊なぞ存在せず、すべてはテレンスの演技だったということ。エドガーの部屋に隠されていた手帳を読んで知ったことをもとに演じたとシレッと話すテレンスにハロルドは当然激怒しますが、エリザベスは息子の思いを胸に、前向きに生きる決心を固めていました。

少年同士の秘密

 ではテレンスは、親友のためとはいえ、なぜここまで体をはった大がかりな虚構を企てたのか。手帳があったとはいえ、エドガーのものとしか考えられない思いを体現できたのか。

 そこには劇中で露わになる真実とは別に、作中には明言されていませんが、もうひとつの真実が隠れているように思います。典型的な家父長制度に基づくハロルドの発言を自然にかわす姿勢と、エドガーは無二の存在だったという幾度もの強調、なによりエリザベスの「あの子はあなたのことを愛していたわ」というセリフ。

 エドガーとテレンスのあいだにはおそらく、少年同士の友情を越える情愛が存在していたのだろうと。

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