「父親なのに育児しない」を変える?ハイテク育児グッズで育児サポート

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「Getty Images」より

 環境相のポストで初入閣した小泉進次郎氏が、来年予定している自身の第一子誕生後に「育児休暇を取得する」と発言し、話題となった。そこには、国民の代表である男性政治家も育児休暇を取得するとなれば、世間の男性も育児休暇を取得しやすくなるかもしれない、という期待感もなくはない。

 そもそも男性が育児休暇を取得する必要が出てきた背景には、家族の形の変化が関係している。

 以前の日本は、二世帯~三世帯で親子孫が同居している家庭が多く、幼い子の父母が忙しくても隠居した祖父母など子どもを見ていてくれる目が常にあった。しかし核家族が当たり前の現在は、子育てのサポートを親に頼ることも難しくなっている。

 母親は出産の流れでそのまま育児のメイン担当者になることが圧倒的に多い。母親は一番身近にいる家族、つまり父親に頼りたいのだが、父親は毎日ほとんどの時間を仕事関連に費やし、妻子に関わる時間が取りにくい。また、育児は感覚的な判断を伴うことも多いため、育児に不慣れな(と思い込む)父親にとっては、子育てを効率よくこなすことが難しいこともある。

 さて、しかし時代は進歩している。いつまでも原始的な育児で疲弊しなくてもいい。ハイテク育児グッズである「ベビーテック」の利用は、育児に不慣れな(と思い込む)父親でも、育児を効率よくこなすための手段になるかもしれない。

 ベビーテックとは、育児とテクノロジーを掛け合わせた造語で、アメリカ発のテクノロジー分野である。アメリカでは「CES (コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)」という世界最大級の電子機器の見本市において、4年連続でベビーテックの表彰が行われ、注目されている。2019年6月には、日本初となるベビーテック商品やサービスを表彰するイベント「ベビーテックアワードジャパン2019」が開催された。

日本においても今後注目されるベビーテックは

 アメリカが始まりのベビーテックは、育児においてITを活用することで、育児にかかる負担や時間を削減するテクノロジー分野だ。アメリカでベビーテックが注目され始めたのは、「CES」という世界最大級の電子機器の見本市で「BabyTech Award」が開催され始めた2016年。

 BabyTech Awardとは、優れたベビーテックを表彰するイベントのことで、2019年で4回目の開催となっている。 BabyTech Awardへは、年々エントリーする企業数が増加しており、アメリカではベビーテック市場が急成長しているようだ。日本でも、国産ベビーテック商品やサービスを表彰する国内初のイベント「ベビーテックアワードジャパン2019」が6月に開催された。

 矢野経済研究所のデータによると、近年日本におけるベビー用品・関連サービスの市場規模は拡大しており、2018年の国内ベビー用品・関連サービス市場規模は前年比6.2%増の4兆2,515億円と予測。少子化が続くなか、ベビー用品・関連サービスの市場規模が成長していくと予測している。

 その理由は、訪日外国人のベビー用品の需要のほかに、育児の負担を軽減したり、子どもの安全や安心、健康な成長のためのグッズの需要、保育園での待機児童を減らすための保育サービスの拡充があるとしている。ベビーテックは日本ではまだあまり認知されていないため、市場規模は小さいが、今後伸びる分野になるだろうと注目されているのだ。

ベビーテックで育児をサポート

 特に子どもが乳幼児のうちは、哺乳や健康管理、成長の記録、安全対策など、気を遣うことがたくさんある。しかも、そのほとんどがアナログな作業のため、母親は育児に多くの時間を費やす。そういったアナログな作業にベビーテックを活用すれば、育児の時間を短縮でき、家事へ充てる時間や母親自身の時間を長く持てるかもしれない。

 しかし、母親がベビーテックを使うにしても、母親だけで育児をし続けていては、父親の育児能力は向上しない。核家族が当たり前になった現代は、父親が育児に積極的に関わる必要がある。

 特に共働き夫婦の場合、父親との育児の分担がなければ、母親に大きな負担がかかる。現在は育児に積極的に関わる父親が増えてきてはいるが、父親の子育てに関して不満がある母親は依然として多いようだ。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2016年に行った調査によると、父親は母親の育児への取り組みについて、9割以上の人が満足しているのに対し、父親の育児への取り組みに満足している母親の割合は5割だった。以前より育児に参加する父親が増えていることで、母親の半数が父親の育児への取り組みに満足しているという一方で、もう半数の母親は何らかの不満を持っているのだ。

 育児への取組みが不十分であると考えられている父親は、「子どもとよく遊ぶ」「子どもの日常の世話をする」について母親に不満を抱かれている割合が高いとしている。

 ベビーテックを母親だけが使うのではなく、育児に不慣れな(と思い込む)父親が活用できれば、父親の育児に対する母親の満足度が高まるかもしれない。母親が父親に安心して育児を任せられることは、夫婦の信頼関係を強め、子どもにとっても家庭が安心できる居場所になるだろう。

「母親と父親の子育ての差」を少なくするベビーテック

 育児経験が浅い親ほど、「自身の経験や感覚に頼った育児」より、ベビーテックのもつ「データを駆使した育児」が有効かもしれない。普段は母親がメインに育児をしている家庭で、父親がひとりで育児を担当する場合でも、ベビーテックを利用すれば母親と父親が行う育児の「差」を少なくできるからだ。

 以下に、前述の「CES」や「ベビーテックアワードジャパン2019」で受賞したベビーテックのなかから、父親の育児のサポートに役立ちそうなベビーテックを5つ紹介したい。

1. 赤ちゃんの泣き声から泣いている原因がわかる「パパっと育児@赤ちゃん手帳」

 ベビーテックアワードジャパン2019の「健康管理部門」で、大賞に選ばれたベビーテック。スマートフォンの無料アプリで、子どもの泣き声を感知し、何が原因で泣いているのか教えてくれるツールだ。赤ちゃんが泣いている原因の正答率は、80%と精度が高い。リリース前に2万人以上のモニタユーザーから泣き声を収集、解析したことにより、高い精度を実現している。機能はそのほかにもたくさんある。アプリに表示されたアイコンをタップするだけで、ミルクの時間やおむつ替え、睡眠などの行動記録もできる。母親は父親に子どもを預けている間の行動記録を確認できるので、安心して外出できそうだ。

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「パパっと育児@赤ちゃん手帳」

2. 母子手帳の情報の記録や予防接種のスケジュール管理までする「母子モ(ぼしも)」

 「母子モ」は、ベビーテックアワードジャパン2019の「妊娠部門」において、優秀賞を受賞したベビーテックだ。無料のスマートフォンアプリで、母子手帳に記入した身長・体重などの成長記録を登録しておけ、住んでいる地域の情報を検索、お知らせまでしてくれる。さまざまな機能のなかでも、特に便利な機能は、予防接種スケジューラーだ。子どもは7歳までに30回以上も予防接種を受ける必要があるが、受けるタイミングはそれぞれ決められている。親はそのタイミングを把握するだけでなく、子どもの急な発熱などで接種のスケジュールが変更になった場合、ほかの予防接種のスケジュールまで組み直さなくてはならない。そんな管理が難しい予防接種のスケジュールを、「母子モ」は一括管理し、予防接種の時期が近づくとお知らせまでしてくれるのだ。予防接種のスケジュールは家族で共有できるので、父親と共有すれば、父親も仕事の予定調整がしやすくなる。

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母子手帳アプリ「母子モ(ぼしも)」

3. 適量・適温のミルクを与えられる「BlueSmart mia2」 

 2018年のCESでは「Baby Eats部門」で受賞し、2019年のCESでも出展された。哺乳瓶の底にシリコン製の製品を取り付けるだけで、誰でも簡単に同じ温度や量のミルクを与えられる。「BlueSmart mia2」はBluetooth接続でスマートフォンの専用アプリと通信し、ミルクの温度や与えた量をクラウド上に記録。クラウド上に蓄積したデータから、その子に合った授乳のタイミングをスマートフォンアプリで通知し、適切な量や温度、哺乳瓶の適切な角度までモーションセンサーで知らせてくれる。

 「BlueSmart mia2」を使えば、哺乳瓶での授乳に慣れない父親でも、適温・適量のミルクを適切なタイミングで与えられるのだ。哺乳瓶を長時間放置してしまった場合は警告音が鳴り、授乳の危険を知らせる機能もある。価格は100ドルほど。 BlueSmart miaのWebサイトにて購入できる。

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「BlueSmart mia2」(海外サイト)

4. 睡眠時の赤ちゃんの動きや呼吸を確認できる「Miku Baby Monitor」

 2019年のCESの「Baby Sleep部門」と人気商品に贈られる「Audience Favorite」で受賞したベビーテック。睡眠中の赤ちゃんは、乳幼児突然死症候群(SIDS)という原因不明の病気により、なんの兆候もなく死亡することがある。厚生労働省の発表によると、平成29年には77名の赤ちゃんがSIDSで亡くなっており、乳児期の死亡原因としては第4位となっている。

 また、寝返りを打てるようになると、寝具で口や鼻がふさがってしまい、呼吸ができなくなる危険もある。そのため、親は赤ちゃんの睡眠中、何度も無事を確認する必要がある。「Miku Baby Monitor」は、寝ている赤ちゃんの様子の動画や、赤ちゃんの呼吸をスマートフォンで監視できるシステム。夜間での動画撮影も可能で、赤ちゃんの呼吸に異常があれば、警告音で知らせてくれる。マイク機能では、赤ちゃんの声を確認できることはもちろん、親の声も届けられる。赤ちゃんの体に取り付ける必要がないため、外れてしまう心配もない。価格は339ドル。販売はアメリカのみとなり、日本では販売されていない。「eBay」などのネットオークションサービスを利用すれば、手に入るようだ。

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「Miku Baby Monitor」(海外サイト)

5. 子どもの肌に貼り付ける体温計「TempTraq」

 2018年のCESの「Healthy Baby部門」で受賞した、ベビーテック。子どもの脇の下に貼り付け、Bluetooth接続によってスマートフォンでリアルタイムの体温を確認できる。体温が一定以上高くなると警告音を発するので、病気の子どもの急な体温の変化も見逃さない。子どもの体調の変化は、見た目だけでは気づかないこともある。病気の子どもを父親に預ける場合、TempTraqがあれば安心だ。しかし充電式ではないため、電池がなくなれば使用できなくなる使い捨てタイプであることが難点。連続使用可能時間は24時間で価格は20ドルほど。まだ日常的に使用するには、高額かもしれない。

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「TempTraq」(海外サイト)

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 育児には親だけでなく周囲のサポートが必要だ。サポートする人の負担を減らすためにベビーテックの活用は有効であるが、日本ではまだ欧米ほどの盛り上がりはない。

 べビーテックの認知度が低いことが大きな理由ではあるが、「育児を機械に任せていいのか」という抵抗をなくすことも今後の課題である。実際に目で子の様子を確認し、頭を使い、手を動かすのは機械ではなく人間なのだが。果たして、ベビーテックは日本人に受け入れられるだろうか。

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