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ブラック校則の現状「男性教師が女子生徒の下着の色をチェック」「全校生徒の同意を得ても変えられない」

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「Getty Images」より

 「生まれつき茶髪なのに黒染め指導された」「下着の色が学校に指定されている」など、理不尽な校則“ブラック校則”。SNSの広がりなどから、かつて生徒だった人々の「これはおかしい」という声や、我が子の通う学校の校則が変だと訴える保護者の声などが顕在化し、注目を集めるようになった。

 理不尽な校則への異論が相次いだことで、問題意識が広く共有されるようになったと言えるだろう。東京都教育委員会は9月上旬に全ての都立中学校と高校に対し、生まれつきの頭髪を黒く染めさせる指導を生徒にしないよう求める方針を決めた。

 しかし今もなお、SNS上には学校から理不尽な校則を押し付けられた経験談が「#ブラック校則」や「#この髪どうしてダメですか」というハッシュタグをつけられ、連日投稿されている。

 ブラック校則の実態はどうなっているのか。「ブラック校則をなくそう!」プロジェクトを展開しているNPO法人キッズドアで理事長を務めている渡辺由美子氏に、話を伺った。

渡辺 由美子
特定非営利活動法人キッズドア理事長。ブラック校則をなくそう!プロジェクト発起人。千葉大学出身。大手百貨店、出版社を経て、フリーランスのマーケティングプランナーとして活躍。 配偶者の転勤に伴い一年間イギリスに移住し、「社会全体で子どもを育てる」ことを体験する。2007年任意団体キッズドアを立ち上げ、2009年内閣府の認証を受けて特定非営利活動法人キッズドアを設立。日本の全ての子どもが夢と希望を持てる社会を目指し、活動を広げている。2016年第4回日経ソーシャルイニシアティブ大賞国内部門ファイナリストに選ばれる。2018年5月、初めての著書『子どもの貧困~未来へつなぐためにできること~』(水曜社)を上梓。内閣府 子供の貧困対策に関する有識者会議 構成員。全国子どもの貧困学習支援団体協議会副代表幹事。

下着の色を指定する学校は増加している

 生徒の頭髪は“ナチュラル”でなければならないという理屈から、学校で「黒染め指導」が行われるケースは多い。

渡辺氏「私たちのホームページで、『ブラック校則の体験談を教えてください』と呼びかけた際、ハーフのお子さんで生まれながら髪が黒くないのに、指導をされたという声も寄せられました。

また、女子生徒の下着の色を指定している学校があることには非常に驚きました。ちゃんと守れているかどうかを男性教師がチェックしている学校もあります。しかも、下着の色を指定する学校は増加しているんです。この事実には本当に言葉を失いました」

 柄ものの下着や濃い色の下着は、なぜダメとされているのだろうか。

渡辺氏「いろんな先生に話を聞くと『黒色などの派手な色の下着は透けてしまうので、よろしくない』と。ただ、下着の専門家に言わせると、『白のブラウスから最も透ける下着の色は白色』なんだそうで、透けさせたくないなら色の濃い下着を着させるべきなんですよね」

 下着の色指定に限らず、細かいところまでルールを設ける学校は減るどころか増えているという。

渡辺氏「時代が進んだことで、個人の自由が尊重され、多様化や個性が大事にされるようになったと思われていますが、調査をしたら現状は真逆でした」

 時代にそぐわない校則が、なぜ増えているのか。

渡辺氏「第一に、先生が非常に忙しいことが考えられます。1人の教師が30~40人の生徒を見るのは難しいので、生徒全員に画一的に指導をする狙いがあると思います」

 ただ、ブラック校則に違和感を覚えている教師も実は少なくないという。渡辺氏は「生徒指導を担当する一部の教師の存在が校則の見直しを難しくしているのでは」と見ている。

渡辺氏「生徒指導の教師に対して、教員間でも反論することに恐怖心を覚えてしまって、なかなか『髪型くらい別にいいじゃないですか』とは言い出せないという先生からの声も届いています」

ブラック校則は不登校やいじめにつながる

 ブラック校則は生徒一人一人の尊厳を踏みにじるだけでなく、不登校やいじめの原因にもなりうる。

渡辺氏「校則違反をした生徒に対する教師の指導にも問題があるのです。まるで“見せしめ”のように、他の生徒の前で叱責したりします。そういうことをされた生徒は当然、精神的苦痛を負います。

身体検査では教師が5人くらいで1人の生徒を取り囲むケースもあり、生徒への精神的負担は計り知れません。その結果、教師の顔を見るだけで気分が悪くなって、学校に行くことがどんどん苦痛になってしまう生徒もいます。理不尽な校則を押し付ける教師に辟易してしまい不登校になるケースもあります」

 誤った指導が、生徒の不登校を招く。一体、何のための校則なのかわからなくなる。

渡辺氏「ツーブロックの髪型を禁止する学校があるのですが、ツーブロックは「男子は耳に髪がかからない」という校則に違反はしていませんが、ツーブロックを禁止している学校が多いのです。ツーブロックを指導された生徒が『校則違反をしていませんよ?』と反論しても、教師は理由を答えずに『それでもダメだ』と頑なに否定するだけ。理不尽さだけが残り、学校に行くことがいやになってしまった生徒もいました」

 「校則違反=おかしな子」というレッテル貼りにつながるリスクもある。

渡辺氏「たとえば、生まれながらに髪が黒くないからといって、地毛証明書を提出させるなんて変じゃないですか? 『私は生まれた時から茶髪でした・天然パーマでした』という証明書を要求する行為は、明らかに人権侵害です。

 そして、そういうことを教師がやってしまうと、他の生徒も『あの子の髪色や髪質は普通じゃないんだ』という認識を植え付けられます。それがからかいやいじめにつながってしまうリスクがあるのです」

生徒のために生まれた校則が生徒を苦しめる

 校則はそもそも、生徒間の差別をなくすために生まれたと言われている。

渡辺氏「校則の起源についてはいろいろな専門家の方に話を聞いているのですが、もともとは『生徒が学校で過ごしやすくなるように』ということで決められたと言われています。制服も、着る物が買えない貧乏な子供やお金持ちの子供など、様々な生徒が同じ教室で学んでいた戦後の時代に、『あの子は貧しい家庭の子供だ』と思われないために生まれました」

 実は、下着の色を指定する校則も、起源は近いらしい。

渡辺氏「下着の色についても話を聞いていくと、昔はいろんな色の下着を買える子供と買えない子供がいて、派手でおしゃれな下着を履いてくる子供がいると、そういった下着を買えない子供が劣等感を抱いてしまうため、『みんな同じ色の下着を履きましょう』という校則が生まれたと言われています」

 「みんな同じ」だから差別してはいけない、という理念がそこにあったようだ。しかし、「みんな同じ」というのは偽りであり、事実を覆い隠しているにすぎない。「みんな違う」けれども、差別をしてはいけないのだ。

 また、校則が貧富の差に配慮して生まれたとしても、成長期の子供は靴や服のサイズもどんどん上がる。学校指定の決して安くはない靴や服、下着をわざわざ買い換えなければならず、保護者の経済的負担は非常に重くなっているのが実態である。

生徒の思いを無視して校則変更を一蹴する教師たち

 生徒や保護者が、理不尽な校則に抗おうと努力してきた歴史もある。生徒会が比較的自由に活動し、校則を変更してきた事例もある。一方で、要求が通らなかったというケースも渡辺さんの耳に届く。

渡辺氏「この活動をするようになって驚いたのが、生徒たちはすごく頑張っていたんですよね。『私はこの校則はおかしいと思う!』と考えて生徒会に入り、全校生徒の賛同を得るなど学校で決められた校則を変えるための手順に沿って活動していたのに、教師に何の根拠も示されずに『これじゃだめだよ』と一蹴されたという声がありました。

 また、保護者も積極的に校則の見直しを学校に訴えてきました。たとえば、宮崎県の学校で夏服の切り替え時期が6月半ばになっているため、6月上旬の暑い時期であっても夏服を着ることが許されず、上着を着て授業を受けなければいけないという学校がありました。保護者は我が子の熱中症リスクを懸念して、『夏服や冬服を切るのは個人の自由にしてほしい』と訴えましたが、結局校則を変えることはできませんでした」

 ブラック校則というフレーズも広まり、メディアでも校則の在り方が議論されるようになっている昨今、徐々にではあるが事態は好転していると話す渡辺氏。ただ、そのペースが遅すぎると危機感も募らせている。

渡辺氏「今後、外国人労働者の受け入れもさらに増え、黒髪ではない子供はもっと多くなると予想されます。このタイミングで抜本的な校則の見直しに着手しないと、校則に苦しめられる子供は将来的にますます増える可能性があります」

 では、渡辺氏にとっての理想的な校則の在り方とはどういうものか。

渡辺氏「東京都世田谷区の区立桜丘中学校や千代田区の区立麹町中学校では、従来の校則を撤廃し、生徒たちが中心になって校則を考えるように取り組んでいる学校も出てきています。そういう学校って素晴らしいなと思っています。

桜丘中学校って以前は非常に荒れていたのですが、校則を無くしたことで生徒が伸び伸びと学校生活を送るキッカケになりました。ですので、これまでのような管理型の生徒指導ではなく、細かいことまで管理しない方が子供の成長のために良いのではないでしょうか」

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