
「Getty Images」より
関東地方を直撃した台風15号の被害から二週間近くが経過したが、未だ停電している地域もあり復旧は速やかに進んでいるとは言い難い。被害状況の全体把握も困難だったが、徐々に鮮明になっている。
農林水産省は19日、農作物栽培用のビニールハウスやガラス室、畜産舎が倒壊するなど農林水産業関連の被害額が8都県(東京、神奈川、千葉、茨城、群馬、山梨、静岡、福島)で計316億円に上ると発表した。当然、農林水産関連以外も被害の度合いは深刻だろう。改めて台風15号が残した爪痕の大きさ・深さを痛感する。
農産物被害は甚大、価格高騰
千葉県匝瑳市にある25万羽余りの鶏を飼育していた養鶏場「サンファーム」では、停電で大型ファンが止まり、暑さのために3万2000羽の鶏が死んでしまった。FNNPRIMEの取材に、サンファームの林共和取締役は、出荷量は台風前よりも2割減少し、元の状態に戻るまで最低2年はかかると話していた。
畜産農家の台風被害が影響しているのか、東京都中央卸売市場の卵の取引価格は、台風上陸前で1キロあたり160円だったが、18日には195円に上昇した。
卵以外にも、農作物の値上げは相次いでいる。台風の影響で東京都中央卸売市場の大田市場の梨の卸価格が月初比で約3割上昇。ミニトマトも7割増となった。
農林水産省の「平成29年農業産出額及び生産農業所得」によると、野菜産出額の2位が茨城県、3位が千葉県だったが、上位2県が台風の被害に遭っていることを鑑みると、引き続き農作物の価格高騰は免れないだろう。
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