東日本大震災級の被害、それでも増税?
甚大な経済的圧迫をもたらした台風15号。おまけに来月からは消費増税が家計に追い打ちをかける。このような現状があっても、予定通りに消費増税は実施されるのだろうか。
日本に消費税が導入されたのは1989年。1997年まで消費税率は3%だった。1997年に5%となり、2014年には8%に上昇した。そして今年10月1日以後は10%になる予定だ。
10%への増税は、2012年の段階で決定していた。2014年4月に8%、2015年10月に10%に引き上げる計画だったのだ。しかし8%への増税が響き、消費は低迷。2017年4月に延期となったが、その時点でも景気は回復しておらず、2019年10月まで延期されることとなった。
安倍晋三首相は、2016年に開かれた衆議院環太平洋連携協定特別委員会で、2017年4月に8%から10%の増税を予定していることについて安倍首相は「今までも申し上げているように、リーマン・ショック級、あるいは大震災級の事態にならない限り、消費税は予定通り引き上げていく、この基本的な考え方に変わりはない」と述べていた。だが前述のように、景気の落ち込みから延期に。では、この10月の増税は確実といえるのだろうか。
東日本大震災の農林業の被害額は約204億円と見られており、台風15号の被害額はこれを上回る。被害の深刻さを比較するべきことではないが、台風15号による千葉や神奈川、東京都島嶼部などの被害は、決して軽視できるものではない。東日本大震災の被害規模は同程度、もしくはそれ以上と考えても差し支えはないのではないか。
それに加えて、食料品の価格高騰による個人消費の冷え込みは十二分に予想される。このタイミングで消費増税を押し切っていいのか、不安は大きい。
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