社会

女性管理職を増やさない言い訳「現時点で適任いない」「家庭責任を負っている」

【この記事のキーワード】
女性管理職を増やさない言い訳「現時点で適任いない」「家庭責任を負っている」の画像1

「Getty Images」より

 2019年6月5日に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(以下、「女性活躍推進法」)が改正された。奇しくも、2019年6月の労働力調査によると、女性の就業者数が比較可能な1953年以来、初めて3000万人を突破している。好調に見える女性の雇用だが、果たして本当に進んでいるのだろうか。

 総務省が7月30日に公表した6月の労働力調査では、女性の就業者数が初めて3000万人を超え、3003万人となった。女性就業者数増加の背景には、35~44歳女性の就業率が77.8%と過去最高を更新したことも要因のひとつにあるだろう。この年齢の女性の就業率は、10年前より10ポイント以上も高くなっている。

 この年齢の女性は出産、育児の時期にあたるために離職し、就業率が低下する期間でもある。その後、復職や新たな仕事に就くことで就業率が回復するため、年齢別の就業率グラフは“谷”を形成する。グラフの形状がMに似ていることから、これは「M字カーブ現象」と呼ばれている。

 この「M字カーブ」の谷が浅くなってきていることは、女性の雇用が改善してきている兆しでもある。ただし、雇用形態を見ると、女性の非正規雇用の割合は55.0%と、男性の23.1%の倍以上。女性の就業が厳しい状況にあることに大きな変化はない。

 そこで、2016年4月、社会における女性の活躍を迅速かつ効果的に進めることを目的として制定されたのが「女性活躍推進法」だ。同法では、従業員が301人以上の企業に対して、女性活躍を進める上での行動計画の策定や情報公表が義務づけられている。

 同法が企業に課している内容は、①女性の活躍に関する状況把握・課題分析 ②課題を解決するのにふさわしい数値目標と取組を盛り込んだ行動計画の策定・届出・周知・公表 ③女性の活躍に関する情報の公表の3点だ。

 そして、今年6月に改正された「女性活躍推進法改正」では、まず301人以上の企業について、女性の活躍に関する情報公表項目が拡大された。これまで最低1項目だった情報公表項目を、①職業生活に関する機会の提供に関する実績 ②職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績の2つに区分し、各々の項目から1項目以上を公表することが義務づけられ、1年以内に実施される。

 情報の公表が求められる具体的な内容は、以下のようなもの。

【職業生活に関する機会の提供に関する実績】
採用時の女性の割合、男女別の採用における競争倍率、従業員に占める女性の割合、管理職に占める女性の割合、係長級の女性の割合、役員に占める女性の割合、男女別の職種または雇用形態の転換実績、男女別の再雇用または中途採用の実績など。

【職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績】
男女の平均勤続年数の差異、10年度前及びその前後の事業年度に採用された男女別の継続雇用割合、男女別の育児休業取得率、1カ月当たりの平均残業時間、有給休暇取得率など。

 もしも、これらの情報公表が行われない、あるいは内容が不十分であった場合には、厚生労働省から勧告が行われる。勧告に従わなかった場合には、企業名が公表される。

 さらに、一般事業主行動計画の策定義務である①女性の活躍に関する状況把握・課題分析 ②課題を解決するのにふさわしい数値目標と取組を盛り込んだ行動計画の策定・届出・周知・公表については、対象が3年以内に現在の従業員301人以上から101人以上に拡大される予定となっている。

女性係長の割合は16.7%

 では、女性活躍推進法の下、どれほどの女性が管理職に就いているのだろうか。2018年度「雇用均等基本調査」によれば、課長相当職以上(役員を含む)の女性管理職がいる企業は56.3%(2017年度54.1%)、係長以上では63.2%(同60.6%)となっており、過去最高を更新している。

 しかし、管理職に占める女性の割合では、係長16.7%、課長9.3%、部長6.7%となっており、女性の管理職登用が進んでいるとは単純には言い難いのが実態だ。

 なぜ、女性の管理職への登用が進まないのか。2013年度雇用均等基本調査によると、以下のような理由による。(複数回答)
 
 ・現時点では、必要な知識や経験、判断力等を有する女性がいない――58.3%
 ・女性が希望しない――21.0%
 ・将来管理職に就く可能性のある女性はいるが、現在、管理職に就くための在職年数等を満たしている者はいない――19.0%
 ・勤続年数が短く、管理職になるまでに退職するため――16.2%
 ・家庭責任を多く負っているため 責任ある仕事に就けられない――11.4%

 ただし、女性の管理職への登用が進まない理由の6割近くを占める「現時点では、必要な知識や経験、判断力等を有する女性がいない」が、必ずしも女性の能力が低いことを指しているわけではない。

 この回答が多いのは、前述したように、女性の非正規比率が男性の倍以上と高く、また採用時にも男性中心の採用を行っていたことで、そもそも女性正社員が少ないのが一番の理由ではないだろうか。

1 2

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。