社会

消費増税だから節約しろ? NHKに「印象操作が酷い」と批判の声

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「Getty Images」より

 Twitterでハッシュタグ「#手取り15万」が話題だ。低賃金で働く人がいかに多いかということだが、厚生労働省が9月20日に発表した7月の毎月勤労統計調査では、実質賃金にあたる1人あたりの現金給与総額が前年同月比1.7%減少であることがわかった。

 給与は上がりにくく生活が豊かになる未来が描けない中、来月からはいよいよ消費税が10%に値上がりする。給与は上がらず物価が上がるため、今後ますます消費が冷え込むことがあらかじめ予想される。デフレ脱出は、より困難になるだろう。

 しかしメディアは消費増税を“ポジティブ”に伝えている。一体どういうことなのか。

 9月12日に放送された『クローズアップ現在+』(NHK系)では消費増税を特集したが、いち消費者として強い違和感を覚える内容だった。たとえば「外食せずに自炊すれば、消費増税の影響はさほどありませんよ」といったものだ。

 番組では、英会話スクールを運営するベンチャー企業で働く2人の男性社員を「外食ばかりしている男性」と「日頃から自炊している男性」に分けて増税後の負担額を比較したところ、前者は増税後に年間約2万7000円の負担増になるが、後者は負担額がほぼ0円であると紹介した。

 当たり前のことだが人間の生活に必要なのは食材だけではない。光熱費、生活用品費、レジャーなどにかかる費用、軽減税率に該当しない一部の食材など、消費税は有無を言わさず10%に上がるのだ。後者の負担額がほぼ0円というはどう考えてもおかしい。

 さすがにこの内容には視聴者から「印象操作が酷い」「クロ現の消費税増税の内容が色々ひどい」といった批判の声が上がっている。

消費増税だから「節約すればいい」?

 日本経済新聞で9月21日に掲載された「ニンジンの皮もおいしく!増税に勝つ食べ切り術」という記事もネットで話題だ。

 「ブロッコリーは茎や葉も使う」「ニンジンは皮ごと料理」など、食品ロスを減らし無駄なく賢く食材を使い切るテクニックが紹介されている節約術特集のような内容ではあるが、増税を絡めてしまったことで大炎上。

 「新聞なのに、消費増税の何が問題で国民の生活がどうなるのかを論考するのではなく『にんじんの皮を食べろ』って泣けてくる」

 「増税に備えて、なんでニンジンの皮を食べなきゃいけないんだよ。今は昭和20年かよ」

 消費税が10%になっても日経記者やNHK職員の生活は問題ないのかもしれないが、貧しい国民に節約を強いるような企画が炎上しないと考えるほうがおかしい。憤りを覚えた読者の声は届いているのだろうか。

 9月23日には東京都新宿区の新宿中央公園で、「消費税廃止各界連絡会」と「消費税10%ストップ!ネット」の共催で「STOP!消費税 暮らしを守る緊急デモ」が行われた。600人もの参加者を数え、決して小規模なものではなかったが、このデモを報じたメディアはほぼ皆無だった。「しんぶん赤旗」だけだ。

 ニュース番組や新聞では、「軽減税率が適用される商品は?」「どうすれば損しない?」等と、消費増税について出来る限りライトに、気軽な問題であるかのように伝えている。これは冒頭記した「#手取り15万」のような一般市民の感覚とあまりに乖離していないだろうか。「増税批判をしろ!」と言いたいのではない。消費増税を伝えるメディアの視点があまりに楽観的なことに、首を傾げざるを得ないのだ。

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