「受け入れることを世の中でやらないと」
しかし親子に敵意を向ける人ばかりではなく、むしろ味方のほうがずっと大勢いるはずだ。そうした発信を続ける著名人も多い。
タレントの長嶋一茂は、2018年10月放送の『長嶋一茂と怒れる女たち』(フジテレビ系)で、乳幼児の泣き声に対する厳しい視線を一刀両断した。番組では、共演タレントのキャシー中島が飛行機の国内線で、乳幼児が泣き出したところに遭遇したエピソードを明かした。後方に座った年配の男性客は「チッ」と舌打ちし、「泣きやがったよ、うるせえな」と言い続けていたという。
このエピソードを聞いた長嶋は、「そいつは人生の敗者」と憤り、「子どもや高齢者に優しい社会じゃないと、健全じゃない」としたうえで、「泣いている子が居たら、俺が抱きに行く。俺は絶対泣き止ませる自信がある」「子どもは本能で、動いてる時に泣きやむ。だから飛行機の中でも『ちょっと貸して下さい』と言って、俺のスピードで2~3周回すと、だいたい泣きやむ」と豪語していた。
今年5月放送の『ノンストップ!』(フジテレビ系)でも、カンニング竹山隆範が「電車は公共のもので、ベビーカーは堂々と乗っていい」と熱弁をふるった。
番組では、通勤時間帯にベビーカーを押して電車に乗ったところ、他の乗客から文句を言われたという視聴者投稿が紹介された。
竹山は「電車は公共のものだから、ベビーカーなんか乗せるんじゃねえという奴がタクシーで行けばいい」と主張。また、「(電車は)公共のものだから、ルールはないから。堂々と乗って、受け入れることを世の中でやらないと」と断言した。
公共交通機関における乳幼児の泣き声やベビーカーの受け入れなどは、「子育てしている人」だけの問題ではなく、社会全体の問題だ。ベビーカー問題、泣き声問題、さらには職場での産休育休、時短問題など、子育てを“迷惑”扱いする声は様々な方向から湧いてくる。しかしたとえ一人前の大人であっても、生まれてから死ぬまで誰にも“迷惑”をかけず生きられる人などこの世に一人もいないだろう。子どもが明るく元気に育つことを支援する社会でありたい。
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