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インフルエンザの季節到来、子どもが咳やくしゃみをしていたら受けないほうがいい? 小児科医からのアドバイス

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MoritoYasumi201910

「Getty Images」より

 空気がひんやりしてくると、小児科外来にはとたんに咳と鼻水の子が増えます。10月のはじめから中旬までには、多くの医療機関でインフルエンザワクチンが始まります。そんなふうに風邪で咳や鼻水があるときに、ワクチンは受けないほうがいいでしょうか?

 厚生労働省の「予防接種法施行規則」というものがあって、予防接種に関しての注意事項が書いてあります。下記の項目にあてはまると絶対に受けてはいけない、というわけではないのですが、知っておいてください。

受けるべきか、やめておくべきか。

①以前にそのワクチンを受けていて、さらに受ける必要がない人
②明らかに発熱している人(37.5℃以上)
③重い急性疾患にかかっている人
④そのワクチンでアナフィラキシーショックを起こしたことのある人
⑤BCGを受ける場合は、以前に受けたBCGや外傷などによってケロイドになった人

 まず、①の「以前にそのワクチンを受けていて、さらに受ける必要がない人」というのは、受けるべきか受けないほうがいいかは微妙なところです。

 以前、生ワクチンは1回のみの接種でいいとされていました。麻疹風疹(MR)ワクチンや水痘ワクチンは2回、定期接種として受けられます。早ければ来年度から定期接種になるロタウイルスワクチンも生ワクチンですが、もとから2〜3回受けるものです。生ワクチン以外の不活化ワクチン、トキソイドも複数回受けないと効果が十分でないものが多く、以前にそのワクチンを受けていても、抗体が上がらなかったり効果が下がってきたりしている場合は、受ける必要性が出てきます。

 だからこの項目は、以前にそのワクチンを受けていても、1回だけだったらさらに受ける必要がある人のほうが多いでしょう。

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 とくに現在、風疹第5期として昭和47年4月2日から昭和54年4月1日生まれの男性に風疹抗体検査と予防接種のクーポンが送られています。風疹抗体価がHI法で16倍未満、EIA法で6〜15未満だとクーポンで風疹ワクチンかMRワクチンを無料で受けることができます。ところが微妙な値、たとえば16倍、8.0だったりすると安心してしまい、ワクチンを受けて帰る人はまずいません。私のクリニックでは、
「風疹抗体価が16倍というのは、5年後もその抗体価である保証はないし、そもそも妊婦さんは16倍以上あることを推奨しているんです。自費でもMRワクチンを受けたほうがいいですよ」
と勧めますが、実際に受ける人はゼロです。

子どもが発熱、判断に迷ったら

 ただ、MRワクチンに関しては2回接種を受けたあとに抗体が上がらない人がいて、そういう人は3回、4回と受けても抗体価は上昇しにくいのです。3回で麻疹風疹の予防効果はあるといわれていますから、それ以上受けなくていいでしょう。でも、受けたことが不確かだったり、1回しか受けていないという人だったりした場合は、2回目のMRワクチンを受けましょう。

 ②の明らかに発熱している場合は、たとえ元気でも予防接種をお勧めしません。だいたい、子どもは急に発熱するものです。37.5℃であまり熱が高くないからとワクチンをしてしまったあとに高熱が出たら、ワクチンのせいなのかなんらかの病気の初期だったのかがわからなくなります。

 でも、子どもははしゃいだり、周囲が暑かったりすると体温が上がりやすいので、薄着にして涼しいところで体温を測りなおし、熱が下がったら一時的な体温上昇だったと判断し、予防接種を受けるのが実際のところです。高熱でなければ、医師に相談してみましょう。

 ③の重い急性疾患にかかっている人も受けられません。急性疾患の「急性」というのは一般的に2週間以内です。ひどい喘息発作を起こしているとか、嘔吐と下痢が1日に何回もあるという体調の悪いときには熱がなくても予防接種は控えたほうがいいでしょう。1〜2週間待って調子がいいときに受けたほうがいいです。

 ④と⑤のアナフィラキシーショック、ケロイドはあまりよくあることではありませんが、ワクチンを受ける利点とデメリットを考慮して、受けないと判断することがあります。

やめておいたほうがいい場合

 上記の5つに当てはまるかどうかよくわからないという人もいますね。鼻水が出ているとか、たまに咳をするくらいだったら予防接種を受けてほしいです。風邪かもしれないけど熱がない、あるいは急性疾患でも重いものでないという場合も、同様です。ワクチンを受けずにもっと重症の感染症になってしまうことのほうが心配です。

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 風邪症状がまったくなくなるまで打てないと思っている人がいる一方、逆に「昨日熱が出たけど今日はないから」と受けに来る人もいます。前述の「予防接種法施行規則」に入っていませんが、病気の始まりは熱が上下したり、なんだかはっきりしないけれど調子が悪かったりすることがありますね。時間的に余裕があれば、数日様子を見てからにしましょう。

 なかなか受けに来る時間が取れないとか、定期接種の期限が切れてしまうとかいうときには、医師に相談してください。それもリスクとベネフィットを考慮しての判断になると思います。

Information

森戸やすみさんが、同じく小児科医の宮原篤さんと共著でリリースした『小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK』、発売記念トークショーが開催されます。

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【日 時】2019年11月24日(日) OPEN 12:30 / START 13:30
【場 所】ネイキッドロフト(東京・新宿)

【出 演】著者:森戸やすみ/小児科専門医・さくらが丘小児科クリニック、宮原篤/小児科専門医・かるがもクリニック
【ゲスト】堀成美/感染症対策コンサルタント
【司 会】鈴木エイト/ジャーナリスト

【料 金】前売¥1500 / 当日¥2000(要1オーダー¥500以上)

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