「いきなり!ステーキ」を倒すのは「やっぱり」か? ステーキ180gで1,000円の妙

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「やっぱりステーキ」はいずれ「いきなり」の天敵になる?

 なお、首都圏には未進出だが、沖縄を中心に大阪、愛知など全国にチェーン展開している「やっぱりステーキ」という店もある。

 定番メニューの「やっぱりステーキ」は180gが1,000円(税込)、360gでも1,980円(同)というリーズナブルさで、しかもスープ・サラダ・ご飯はセットになっているというのだから驚きだ。

「残念ながら私自身は『やっぱりステーキ』で食べたことがないので、何とも言えない部分も多いのですが、熱した溶岩石に肉を乗せて提供するスタイルなどは、『ステーキ屋松』と発想が近いような気がします。ステーキ180gで1,000円という設定はお腹にも財布にもやさしく、『せっかく沖縄に来ているのだから、他の名物も食べに行ってみてください』という観光客への配慮もあるのではないでしょうか。

 『やっぱりステーキ』が首都圏に店を出す際は、どのようにアプローチするのか、個人的には楽しみですね。沖縄でのやり方をそのまま踏襲するのか、あるいは地域に合わせた戦略を練ってくるのか。

 特に“質より量”で攻めてきた『いきなり!ステーキ』にとって、『やっぱりステーキ』はかなりの脅威でしょう。単純計算すると、『やっぱりステーキ』に2回並んで180gのステーキを食べたほうが、『いきなり!ステーキ』で300gのステーキを1回食べるよりも安いということになってしまうからです。

 もっとも、“質より量”という客からすれば、『やっぱりステーキ』は物足りないかもしれません。ただ逆にいえば、これまで『いきなり!ステーキ』はボリューミー過ぎて入りづらいと感じていた層が、『やっぱりステーキ』にどっと流れる可能性は高いと思います」(重盛氏)

 現時点では「いきなり!ステーキ」の知名度は圧倒的。都内に2店舗目をオープンさせたばかりの「ステーキ屋松」や、1店舗のみの「やっぱりあさくま」、首都圏未進出の「やっぱりステーキ」は、まだまだマイナーの域を出ないが、勝負はすでに始まっている。

 重盛氏は「今回紹介したような他のステーキ店が情報発信を本格化させて、それが消費者にリーチした時には、『いきなり!ステーキ』の凋落は加速度的に増していくでしょう」と予言する。

ステーキ業界の新時代を担っていくのはどの店なのか。あるいは「いきなり!ステーキ」が息を吹き返す可能性もまだある。ステーキ業界の行方に注目していきたいところだ。

(文=森井隆二郎/A4studio)

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